私はこれまでに情報の授業を受けたことがなく,教科書や参考書の類も一切持っていないのですが,共通テストに新しく情報Iが加わったということで,今回スタディサプリで一から学んでみることにしました。
使用したのは,高1・高2講座の中にある「ベーシックレベル情報I」という講座で,一通り学んだ後に共通テストの問題を解いてみて,実際どのくらいの点数になるのかを調べてみたいと思います。
現在では講座の数が3つに増え,さらに万全の対策ができるようになりましたが,当記事ではまず,スタサプにある情報講座の種類について言及し,実際の講座内容の様子について述べてから,いよいよ共通テストの問題を解いてみてはその結果を分析してみることにしましょう。
スタディサプリの情報講座の種類
スタディサプリの情報講座で,共通テスト対策に使えるものは以下の通りです↓
- ベーシックレベル情報I(全47講義)
- 高1~高3 情報Iプログラミング編(全48講義)
- 共通テスト対策講座 情報I(全5講義)
このうち,最後に挙げた共通テスト対策講座に関しては,別記事で解説しているのでそちらを参考にしてください↓
以下で,これら3つの内容についてみていくことにしましょう。
ベーシックレベル情報I
ベーシックレベル情報Iですが,真っ先に受講したいのが本講座で,全部で9つの大きなまとまり(テーマ的なもので「講」と呼ばれます)に分けられます↓
それぞれでどのような内容を学べるかについて簡単に述べたものが以下で,カッコ内に示した数字は講義数です↓
- 情報社会と問題解決(6):情報モラルや累積グラフ,対照実験やCCライセンスなどについて学ぶ。中でも著作権については隣接権などを細かく覚える必要あり。
- メディアとコミュニケーション(2):1次情報やクロスチェックの他,うわさの基本法則やサイバーカスケードについても言及される。例が日常的なものとなるのでわかりやすい。国語の学習に近いところもあるが,こちらも用語を覚えるための時間が必要。
- 情報のデジタル化(8):離散的なデジタルと連続的なアナログの区別,BYTEとbitの違い,2進法の数え方やCD音源,画像などについて学ぶ。なぜ動画のデータ量があれだけ大きくなるかについても納得できるはず。
- 情報デザイン(4):構造化する問題が出てくるが,そのためには論理的な思考力が必要と思われる。人間がミスをする生き物であることを前提とした設計であるシグニファイアが登場し,Webサイトの制作経験があると理解しやすい。
- ハードウェアとソフトウェア(5):発展事項を多く扱うため内容は難しめ。半加算経路や補数の概念を用いた計算,小数の2進法やバグに繋がるオーバーフローなどを学ぶ。
- アルゴリズムとプログラミング(8):これぞ情報の授業といった内容でプログラミングの解説が中心。micro bitというキットの説明から始まるが,やがてint関数やstr関数,pythonにおける書き方ルールの解説に差し掛かると,覚える量が急激に増えて理解困難となる。
- モデル化とシミュレーション(3):動的モデルや質的モデル,エージェントシミュレーションや静的シミュレーションなどの定義について学ぶ。表計算ソフトを使っての相対参照や絶対参照の知識は実生活においても役立つはず。
- 情報通信ネットワーク(7):httpやファイヤーウォール,ホワイトリストや公開鍵にデジタル署名,射影や選択などについて学ぶ。
- データの活用(4):統計学的な内容が中心。相関CORREL関数や単回帰分析,仮説検定,5%有意などが登場する。講義時間は短め。
1つの講義は以下のような構成になっています↓
講義の構成と内容
要点整理:講師が重要な知識について解説するパート。「楽しいな」や「難しい!」などと思いながら,新しい知識を増やしていく。
実践問題:講師が安藤昇先生に変わる第6講以降は,あらかじめ問題文を読んで軽く解いておくのが良い。思考力を問う(考えさせられる)問題が多く見られ,表を作る問題や要点整理の動画の知識だけでは解くのが困難なものもあるので,その場合は解説を聞くだけでも構わない。
確認テスト:授業で扱った内容の復習。授業では扱わないので自力で正答率100%を目指す。問題の難易度は実践問題に比べると楽になっている。
ちなみに,スタディサプリのベーシックレベル情報Iの前半部分の講義は武善紀之先生が,後半の授業を安藤昇先生が担当します。
詳しくは以下の記事をお読みください↓
高1・高2・高3情報I〈プログラミング編〉
こちらはプログラミング部分に特化して学べる講座で,共通テストで高得点を取るのに必須ではありませんが,失点するリスクを低くすることができます。
先の講座の第6講はやや不満の残る内容でしたので,こちらで完成すると思っておくのが良いです。
初級から上級までスモールステップで学んでいける内容で,1つの講義は数分で終わるボリュームということで苦手意識がある方でも気楽に視聴できるでしょう。
内容が限定されている分,先のベーシックレベル情報Iよりもずっと早く学び終えることが可能です↓
- 初級編(14):プログラミングの基礎知識(演算の仕方やif・while文など)を学ぶ。
- 中級編(19):基礎知識を組み合わせて解く問題が中心。ベーシックレベルを終えていれば,いきなり中級編から始めるのもあり。
- 上級編(15):難問を解くための思考力を育むための講義。
とはいえ,講義自体がパッと終わっても確認テストを解くのに思考力を要したり,中級編以上では予習で例題を解いておく必要があったりするので,講義以上にそれらの方に時間が取られることになります。
もう少し内容を補足しますが,初級編は予習が不要で,確認テストの方がむしろ本体です↓
中級編からは,以下のような例題を予め解いておく必要があります↓
講義で解説されることになるため,必ずしも正解できる必要はありませんが,何が自分にとって難しいことなのかを知っておくためにも,飛ばさずに解くようにしましょう。
担当は,ベーシックレベルの後半を担当していた安藤先生です。
スタディサプリにおける情報の学び方
ここでは実際の学び方についてみていきますが,まずはベーシックレベル情報Iにあるすべての講義を視聴してください。
私は1.5倍速で全部を観ましたが,1時間かけて一気に3講義くらいを視聴することができました。
集中力も大体そのくらいの長さで切れるため,1日を3回に分け,全部で9講義くらいを目標に学ぶようにすれば,1週間で学び終えることも不可能ではありません。
ただし,これは自由時間が多い私の例であって,一般的にはその倍の2週間,理系科目が苦手な方なら3~4週間を1つの目安にすると良いでしょう。
確認テストでは,正解以外の選択肢についても説明できるようにするのがベストですが,後で学ぶ用語も出てくるので,効率を重視するのであればひとまず問題に正解できる状態を目指し,解説があるものはそれも読みながら一通り終え,最後に総まとめとして確認テストを最初からやり直してください↓
その他,学ぶ際のコツですが,以下のような工夫が考えられました↓
- 動画を止めて納得いくまで考える
- テキストは使わない
- 移動中に学ぶ
- ノートに質問形式でまとめる
速習を試みますが,理解していない状態で先に進んではいけません。
倍速で視聴するのであればなおさらで,疑問が浮かんだ際など,必要に応じて動画を止めて考えてみるようにしてください。

なお,今回私はテキストを一切使いませんでした。
授業で語られる内容を自ら書き込む形式になっていますが,動画無しでテキスト単独では学習できない点が不満で,問題の解答は省略となっているものがほとんどだった(例えば,プログラミングを書いて動かすとか表計算ソフトを使ってグラフにするなどは実演するしかない)ところが不満点です↓
逆に言えば,動画を観て理解していくだけでも十分学べてしまうので,テキストの出番はなく,最低限準備するのはスマホだけで良くなっています。
その長所を生かして,移動中または気分転換に学ぶといったことを検討してみてください。
とはいえ,出てきた専門用語についてはまとめノートを作っておくべきで,確認問題の質問を逆に用いて,例えば「VDT症候群とは何か」といった質問形式でまとめておくことをお勧めします。
本番前にそのノートを読みさえすれば,必要な用語の意味を高速で思い出せるでしょう。
ベーシックレベル情報Iを視聴してみた感想
情報という教科は積み重ねがほとんど要らないはずですが,新しい講に入った時に,一体何の話をしているのかわからなくなって戸惑ってしまうことがありました。
とはいえ,要点整理でその講義における目標が提示され,授業の最後にはその日の内容をまとめてくれるので,良い授業となる条件は満たされています。
できる限りビジュアルに訴えようとする姿勢が見られ,しばらく視聴していると,講師の印象が最初と大きく変わったように感じられました(良い意味です)。
情報の授業を聞く上で,受講者の英語力や数学力に国語力,さらには日々の経験がものを言い,講義の内容理解を大きく助けてくれることになります。
例えば,CUIはCharacter User Interfaceの略ですが,英語でCharacterが「文字」を意味することを知っていたり,LANをみてすぐにLocal area networkなどと英語で言えるようになれば,そう簡単には忘れないでしょうし,情報の問題の中には読解力だけで解けるものが結構ありました。
2進法を扱う講義では,数学Iの知識があることで理解度が大きく高まります。
講義に出てくる具体例は,実生活で目にするものが中心となっているため,「日本人だから現代文が解ける」のと同じような理由でイメージしやすいように感じました。
もしこれが化学の教科であれば,一般には手に入らない薬品を使って実験する必要があるでしょう。
いずれにしても,情報の講義を受けていて特に強く思ったのはこれまでの人生経験が生きるということで,幼少期にロボット教室に通ったり,Pythonでプログラミングを書いたり,Excel処理に慣れていたりする高校生は大変有利に事を運べます。
情報の共通テストを解くにあたって
さて,今回の記事を書いた目的は「スタサプの情報の授業だけを受けた状態で共通テストを解いてみたらどのくらいの得点が見込めるか」です。
ここでは,共通テストの具体的なイメージを共有するために公表された「情報のサンプル問題」と初回実施分の過去問を使って検証してみることにしましょう。
前者は以下のものを利用しました↓
なお,時間については制限を設けず,解くスピードの速さは問題にしていません。
本来であれば60分で解く必要がありますが,ここでは最高でどのくらいの点数が取れるのかについて知ることを第一の目的にしています。
その上で,理解不十分で太刀打ちできない問題があると分かれば,別の方法でもって知識を補充するように努めるようにしますし,逆に十分得点できてしまうようであれば,後は制限時間内に早く解く練習を積めば良いわけです。
都合が良いことにスタサプには共通テスト対策講座があるわけですし,早速サンプル問題を解いてみましょう!
情報のサンプル問題を解いてみた結果
今回解いたサンプル問題は大問3つの構成でした。
後発となる大学入試センターの試作問題では大問の数が全部で4つに変わっていたので,そちらの方が本番に近いわけですが,問題の構成によって出来が大きく左右されることはありません。
どのような問題を解くことになろうと,「必死になって問題文を理解するようにしては,今ある知識でもって解く」だけです。
第1問
第1問は情報にまつわるインターネットやクラウドサービスなどの仕組みの特性について知っておけば正解できる問題でした。
伝えたい内容を表現するための図を正しく選ぶ問題や,デジタル化にまつわる知識が問われていますが,これらはどちらもスタディサプリで学んだことです(第2~第3講が中心)。
問4で1問間違えてしまいましたが,これは文章を読んで解釈するところを誤解したためで,この対策としては過去問を何度も解く以外に正答率を上げることはできず,ひょっとしたら私自身の能力の限界とも言えるでしょう。
その他,2進法の問題に関しては,計算を伴う問題が多く出題されることが予想できたので,演習量を積んでおく必要があるとわかった他,専門用語についてはより深く理解しておく必要があるように感じました。
結果:12問中11問正解
第2問
サンプル問題の第2問はプログラミングの話題が中心です。
情報の授業を受けていて感じたのは難しい項目がはっきりしているということで,私にとっては2進法・プログラミング・統計にまつわるデータ処理の3つが特に難しいと感じられました。
中でもプログラミングが最も難しく,今回の問題を解いていて,文章を理解するのに時間がかかっただけでなく,どれだけ時間をかけようとも最後まで自信が持てない問題があることがわかったのは収穫でした。

得てしてそのような問題は間違っていることが多いもので,本番においても,何となくこれだろうと選んだものは大体不正解になっています。
スタディサプリの授業ではprintやifにwhileなど,指示内容も英語で書かれていましたが,サンプル問題は日本語で書かれているという違いがあり,他は,添え字が「添字」と表記されていたことくらいです。
馴染みのない「//,==,%」といった表記は見られず,スタディサプリ講座の知識だけで十分太刀打ちできる内容でした。
とはいえ,思考力を要する初見問題が大半なために解くのに時間を要し,間違えた考えを持つ生徒が行ったプログラミング結果を再現する問題では,そのときの思考経路を読み取るのが難しかったです。
結論としては,スタディサプリの第6講のPART6で学んだような内容をもっと演習する必要があるように感じました。
とはいえ,大体2択までは自信をもって絞り込むことができ,悩んだ割に結果は良好でした。
問題の傾向としては,数学の共通テストと同様,後の問題になるほど難しくなるようです。
結果:17問中16問正解
第3問
第3問はヒストグラムや回帰直線の問題で,統計にまつわるものが中心でした。
ここまで来ると,数学の問題と被るところが多いと感じざるを得ません。
極めつけは小数計算をする必要があったところで,例えば
- 2.20-(0.0080×384.2-1.4307)=?
のような計算を解く際,計算力のある人は時間に余裕が生まれやすく,実際の得点は高くなりそうです。
グラフの読み取りでは読解力も問われましたが,こちらも数学のものと似ています。
全問を通して1問だけどちらか迷ったものがあったものの,それをもし間違えてしまっても90点を超える出来だったので,スタディサプリのベーシックレベル情報Iの講座を視聴するだけでも,共テで高得点は十分に期待できるとわかりました。
結果:10問中10問正解
初回の共通テストを解いてみた結果
情報Iの初回の共通テストですが,知識問題が思った以上に少なく,半分以上がプログラミング的な思考力(論理力)を使って解けてしまう問題でした。
スタディサプリで解説された知識だけで解ける問題は,以下の7点分となります↓
知識問題とスタサプの該当範囲
第1問の問1ア(2点):デジタル署名についての記述は第8講のPART5に登場。
第1問の問1イ(2点):128ビットのIPアドレスが利用されるようになった理由は,第8講のPART2でIPv6とIPv4の比較を通して学べる。
第4問の問1アとイ(3点):第9講のPART1で量的データと質的データを学べば,4つの選択肢の意味の違いが明確になる。
それ以外にも,第1問の問3では第8講の情報管理システムの話が役に立つでしょうし,第3問に至っては第6講のところで学んだ知識なしでは太刀打ちできなかったでしょう。
実際に私が解いた結果が以下の表ですが,答えに迷ったものはすべて不正解と処理しても,結果は9割超えとなりました↓
問題番号 | 得点率 | 間違えたもの |
第1問 | 20/20点 | なし |
第2問 | 25/30点 | Aの問4キ,Bの問3タ |
第3問 | 23/25点 | 問2ク |
第4問 | 23/25点 | 問3キ |
その他教科を含めて実際の解き方をもっと知りたい方は,共通テストの解き方!教科ごとの得点や時間の目安もを参照してください。
まとめ
以上,スタディサプリの情報講座の紹介と,ベーシックレベルのみを視聴した状態で私が共通テストに挑んでみたときの結果報告でした。
時間に制限こそ設けなかったものの,他に教科書を読んだり参考書を解いたりすることなしに9割以上正解でき,その状態に至るまでの学習時間は1週間(20時間)程度だったということで,これからスタディサプリで情報を学ぼうと考えている方には朗報となったのではないでしょうか。
もちろん,この後でプログラミング編に進んで問題演習を積み重ねては難しい問題を解くための思考力を育くみ,用語の意味を再確認したり,はたまた共通テスト対策講座で時間内に効率良く得点する方法について学んだりすれば,より万全を期すことができます。
そうなると,もう1週間くらい余計にかかりますが,他の教科との兼ね合いもあるので,1ヶ月くらいを学習時間として考えておくのが無難でしょう。
特に強く感じたのは,情報という教科において重要なのはこれまでの経験と国語力であり,同じ講義を受けたときの理解力は,人によって差があるということです。
実際,私自身は理系だったので数学に強い他,このような形でウェブサイトを運営していることもあってコンピュータに関する基礎知識があったことが功を奏しました(逆に,知識がなかったプログラミングの問題は解きづらかったです)。
まとめると,共通テストの情報Iにおいて高得点が期待できる人の特徴は,
- 共通テストの数学が得意
- 英語が得意
- 読解力がある
- プログラミングの経験がある
となります。
次点として,
- 用語の暗記を頑張れる人
- 統計的なデータや2進法について念入りに学んだ経験がある人
が挙げられるでしょうか。
情報Iは新設された科目ではありますが,みなさんがスタディサプリで学んで高得点が取れるようになることを祈っております。
これから新規で使う方は,キャンペーンコードの記事を確認してから始めるようにしてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。