2022年3月にスタディサプリに新しく加わり,2023年9月からリニューアルも開始した小学校低学年向け講座ですが,中でも算数は充実した内容となっています。
具体的には「小1・小2・小3算数」という3つの講座についてみていくことになりますが,レッスンに難易度別のものが用意されているのは他教科にはみられない特徴です。
実際どのような内容を学ぶことになるのか,まずは概要を把握してから学年別に詳しくレビューしていきたいと思います。
スタディサプリの小1~小3算数の概要
スタディサプリの小1・小2・小3算数では,それぞれ以下のレッスンが利用可能です(リニューアル前は講義数で記載されています)↓
小1~小3算数の講義数
小1:全122レッスン(旧ver.は基礎76講義+応用55講義)
小2:全121レッスン(旧ver.は基礎84講義+応用57講義)
小3:約120レッスン(旧verは基礎95講義+応用62講義)
なお,小学講座は2023年9月からリニューアルを開始していて,2024年の春ごろには小2講座までが完全に新しい物に置き換わります(もっとも,旧ver.のものもその性質上,当分の間は利用できるでしょう)。
ここではリニューアル前のものを「旧ver.」と書くことにしましたが,新ver.のものと劇的な違いがあるかと聞かれれば決してそのようなことはなく,確かにアプリの使い勝手は変わるものの,学ぶ内容自体に大差はありません。
とはいえ,小学校低学年の生徒が1人で学ぶ分にはリニューアル後の方が使いやすく,逆に小学校高学年以上の生徒が低学年の範囲を学び直すような場合には旧ver.の方が使いやすいはずです。
なお,大きな違いとしてはキャラクターのしゃべる量が挙げられ,リニューアル後の登場人物はきくまる・ささくませんせい・まかろにの3人を中心とした会話形式でレッスンが進んでいくのに対して,旧Ver.ではヨリーというキャラクターが登場する動画で学んでいくことになります。
新ver.の3人はそれぞれイヌとクマとペンギンの姿をしていて,前者2人は生徒役です↓
余談ですが,この世にはマカロニペンギンなる生き物が知られていて,彼らは目の上にオレンジ色の羽が生えているのが特徴だったりします(残念ながらその特徴まではイラストに反映されていません)。
一方,ヨリーはトリのような見た目で,名前の由来が何かはわかりませんでしたが,英語でJollyと言うと子ども向けの発音指導の本(Jolly Songs)や遊び道具やお菓子などが浮かぶこともあって,小学校の「低学年」と何か関係があるのではないでしょうか↓
旧ver.についてもう少し補足すると,動画が存在するのは基礎レベルのみであり,応用だとすべてがドリル形式に変わってしまうことにご注意ください。
リニューアル後のアプリでは,単元の最後に出てくる「まとめレッスン」に応用レベルが統合されていて,学習者の正解率に合わせて基礎レベルか応用レベルかが自動で選ばれてきます(いわゆる「出題の個別最適化機能」が搭載されているわけです)。
例えば本章の冒頭で示した「3つの数の計算」の単元では「3つのかずのけいさんのまとめ」というところでその機能を垣間見ることができます。
第1問目こそ「1+9-2は?」という質問でしたが,それに正解すると2問目が「1+4+5+3は?」と4つの数の計算を提示してくるのに対し,不正解の場合は「4+6-3は?」と基礎レベルの出題が続くわけです。
旧ver.を使う場合には,基礎レベルで身に付けた知識を難しい問題を使って深めていきたい場合に限り,応用講座を使うようにしましょう。
小4~小6算数においては基礎と応用とで扱う内容が大きく異なっていたことを考えれば,それらで言うところの「入門編」と「基礎」の方の関係に近いように思われます↓
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かねてからスタディサプリでは算数を重視していたわけですが,令和の時代は文系であっても数学が必要となるだけに,時代の流れは理解重視です。
小学校低学年向け講座においてテキストは存在しませんが,旧ver.では教科書との対照表がダウンロードできました。
問題内容から察するに,リニューアル後も扱う教科書に変更はないと思われます。
普段学校で使っているものが含まれるか,以下で一応確認しておいてください↓
- 日本文教出版
- 大日本図書
- 学校図書
- 教育出版
- 啓林館
- 東京書籍
次章からは,学年ごとに講座内容を具体的にみていきましょう。
スタディサプリの小1算数における学習内容
スタディサプリの小1算数ですが,最初は10までの数字を数えるところから始まるものの,最終的には100を超える数までの計算ができるようになります↓
扱うテーマ
数(1桁~3桁),足し算,引き算,時間(時計の読み取り),比較(数の大小,長さや広さやかさ),色々な形など
足し算や引き算で扱える数が10,20,100と大きくなるにつれ,結果として繰り上がりや繰り下がりの計算が理解できるようになるわけです。
やり方ですが,リニューアル後のものは平日の隔日に1レッスンのペースで学んでいきますが,月曜日になるとトップページの「今週のレッスン」が更新されるので,その指示に従っていけば自分でペース配分をせずに済みます↓
旧ver.を使う場合では,まずはドリルを行いましょう↓
こちらもタブレットをタップして進めていくだけでよいので簡単です。
旧ver.の場合はパソコンでも学習できます。
続けて,量や長さも比較できるようになる他,時計の読み方や図形についても学んでいきましょう↓
学ぶ順番についてはどこから開始しても構いませんが,基本的にはすべてが積み重ねなので,特に何もなければ最初から順にみていくのが正解です。

なお,上の動画では,紙に置いた箱の形を写し取る問題を解説していましたが,この後,違う面から違う形を写せることについても言及されています。
このことは,後の投影図の理解につながるもので,遅いと中学校で学ぶことになるわけですが,その時にわからなくなる原因が実は小学1年生での学びにあったとしても殊更おかしな話でもないのです。
ちなみに,応用講座の問題を解く際にも,基礎で学んだいくつかの概念を組み合わせることがありました↓
例えば,この問題ですと,大小の概念と足し算・引き算の関係の他,正しい計算方法が理解できているかどうかが問われていました。
スタディサプリの小2算数における学習内容
小2講座は1年生の復習から始まりますが,扱う数は4桁になり,筆算やカッコのある計算や掛け算も登場してきました。
扱うテーマ
グラフと表,足し算と引き算の筆算,3桁・4桁の数,時刻と時間,水のかさ,三角形と四角形,計算の工夫,掛け算,長さ(cmやmmやm),分数,箱の形(辺や面や点)など
その他,グラフや表に線分図など,使えるツールも増えていきます↓
上と同じテーマを応用のドリルでも行ってみましょう!
一体どのような問題に変わるのでしょうか。
実際は以下のようになり,「残り」や「出ていった」といった言葉についても考えなければならない分,やや難しくなったことがわかります↓
基礎だけで600問近くの問題数があり,応用も250問近くあるので,すべて合わせると約800問です。
これだけみると十分だとは言えませんが,学校のドリルなどもやるわけですし,少なくとも,1つの講義で扱っている問題群については自力で解けるようになります。
スタディサプリの小3算数における学習内容
小3算数で扱うテーマは以下の通りです↓
扱うテーマ
掛け算,割り算(余りあり),時刻と時間,暗算,数(5桁),円と球,分数と割り算,小数,分数と小数,□を使った式,二等辺三角形や正三角形,そろばんなど
図形の中では円が登場したのが大きく,半径や直径といった用語が出てきます。
なお,□を使った式はいずれxのような文字を使った計算をするときの基礎となりますし,そろばんについて学べる点も旧学習指導要領で育った方からすれば目新しいものでしょう。
暗算というテーマでは,小1で習った数字を分ける技術を用いることで,できるだけ小さくした数を使って計算することを学びます↓
「わざわざこんなことをして計算しないよ」と言う意見を耳にすることが多いですが,計算のアプローチは多く持っておくに越したことはありません。
例えば,20までのインド式掛け算を暗記したり,2桁の数に11を掛けるときの裏技めいたもの(23×11=253で説明すると,答えの赤と青の位置は最初の2桁の数と一致しており,真ん中の緑は赤と青を足したものになる)を知っておくことも,決して無駄にはならないでしょう。
なお,小1講座から毎回登場する時計(時刻)にまつわるテーマですが,基礎レベルの問題も,このように順調にレベルアップしてきています↓
その他,1分10秒を秒だけで表したり,80秒が何分何秒になるか答えるような問題があったところはポイントが高いです。
表には現れてきませんが,こういう計算を即座にそして確実にできることこそが,テストで大きく物を言います。
まとめ
以上,スタディサプリの小学校低学年向け講座から,小1~小3算数の内容についてみてきましたが,どのような感想をお持ちになったでしょうか。
最初は10にも満たない数の計算から始まりましたが,1年も経てば3桁・4桁の計算ができるようになり,多い少ない,大きい小さいといった比較もできるようになる他,線分図やグラフや表の読み取りにも強くなります。
高学年になっていずれは中学校に入学したときのことも考えると,投影図や文字式の基礎だったり,短いながらも頭を使って解く問題に触れたという経験は,後に読解力や論理的な思考力となって現れ,多くの場面で役立ってくれることでしょう。
スタディサプリの小1~小3算数は,リニューアルすることでより子どもだけでも独学がしやすくなりました(旧ver.は,ある程度親が主体となって指導する必要がありました)。
読み書きそろばんの3つ目にあたる算数なだけに,小学生のうちから得意科目になることを目指しましょう!