スタディサプリで小学校高学年の算数を学んだ場合,一体どの程度まで学力が上昇するのでしょうか。
他に低学年向けのものもありますが,今回注目するのは「小4~小6算数」です。
当記事では,これらの概要について説明するところから始めて,小学校の授業内容についていけるはもちろん,中学受験に使えるかどうかについても検証してみたいと思います。
スタディサプリの小4~小6算数とは
スタディサプリ小学講座の算数は,小学4年生から6年生までの高学年を対象としたものと,3年生以下の低学年用のものとで内容が異なることに注意してください。
後者については別に記事にしてありますが,高学年の生徒が復習用に使うこともできます↓

近年,小4に満たない段階から塾に通う子どもが増えているとのニュース記事を目にすることが増えましたが,私自身が教えている都内の個別指導塾ではそのようなケースは稀です。
個人的な意見としては「たとえ中学受験させる場合であっても,本格的な対策は小学4年生になってからで十分間に合う」と考えており,それは令和時代においても変わりません。
とはいえ,勉強する必要がないとまでは言っていません。
そろばん教室に通わせたり図鑑や学習マンガを買い与えたり,それこそスタディサプリの低学年講座で学んでおいたりすることがあって然るべきでしょう。
中でも重要なのは,読書習慣を身に付け,算数の文章題の内容を正確に理解できるだけの読解力を身に付けておくことで,教科書を読むときの理解度が変わってきますし,読む速度が上がれば,同じ時間でより多くの内容を学べることにもなるため,読書習慣がない人との差は開く一方です↓
話を戻しますが,小学校高学年になった生徒が,スタディサプリを使っていよいよ算数の勉強を本格的に始めようと考えた場合,講座の難易度を「基礎レベル」または「応用レベル」の2つから選択することができます。
簡単に言えば,小学校の授業内容を扱うのが基礎レベルで,中学受験に必要な知識を学べるのが応用レベルです。
ただし,基礎レベルはさらに入門編と通常のものに分かれ,前者はより丁寧で易しい問題を扱います。
同じペースで学んでいけるので,普段は通常のもので学んでいて,難しい内容のものが出てきたときには入門編を使ってみてもよいでしょう。
これらの具体的な講義数ですが,
小4~小6算数の講義数
小4:基礎入門編30講義,基礎30講義,応用15講義
小5:基礎入門編32講義,基礎32講義,応用30講義
小6:基礎入門編32講義,基礎32講義,応用30講義
のようになっています。
入門編と基礎はどちらか片方を受講するとして,全部で169講座です。
講義では毎回動画を視聴することになり,内容が難しくなるにつれて講義時間が長くなる傾向にありますが,60分にまで達するようなことはなく,学校の授業と同じくらいの長さです。
ただし,それに復習や板書の時間も加わるので,1講義こなすのに1時間から2時間くらいがかかると見積もっておきましょう。
1学年分の全レベルの講義を視聴したいと考えれば,全部で100時間程度を見込んでおく必要があり,1年かけて取り組むこともできますし,短期集中で学ぶこともできます。

ちなみに,それぞれの難易度は,
- 基礎入門編=学校の授業を1から理解する
- 基礎=教科書レベルから思考力を要する問題まで
- 応用=中学入試における小問レベル
であり,上2つの基礎レベルと最後の応用レベルでは,構成や語られる内容ともに別内容と言えてしまうほどです。
算数が苦手な子であれば入門編から始めればよいですし,学校のテストで満点を狙うのであれば基礎を,そして中学受験を視野に入れる方は応用で学ぶことをお勧めします。
これらの講座を担当する講師は理科と同様,2人いて,飽きや相性の問題が発生しにくくなっているところも特筆すべきでしょう。
スタサプの講師陣については以下の記事をお読みください↓
ここまで文字による説明でしたが,それだけだとわかりにくいと思いますので,基礎レベルと応用レベルに分けて,次章以降で詳しくみていくことにします。
基礎レベルの講義内容について
スタディサプリの小4~小6算数の基礎レベルを担当するのは尾﨑正彦先生です。
講師紹介の記事で述べたように,彼は新潟大学の教育学部を卒業し,浜浦小学校の教諭を経験されただけでなく,新算数教育研究会の奨励賞や文部科学大臣賞,全国算数授業研究会全国理事や新潟市教育委員会認定のマイスター教師になるなど,多くの業績や活動歴があります。
時代の要請に沿った思考力の育成を目指す授業は,国公立の中学校を受験する際にも役立つでしょう。
授業は細部までよく考えられた丁寧な作りとなっていますが,線対称の講義で回文(「若山やはるか光るは山や川」のように,逆に読んでも同じになる文)の説明から入ったときには大変驚かされました。

本講座の内容ですが,例えば小学6年生のものだと以下について学ぶことができ,学習指導要領が改訂された2020年に内容がアップデートされました↓
小6算数基礎レベルの学習内容
対称な図形,文字と式,分数のかけ算とわり算,円の面積,並べ方と組み合わせ方,速さ,立体の体積,比,拡大図と縮図,比例と反比例,資料の調べ方,量の単位など
ちなみに,上の赤字部分は高校生になってからも使う重要な単元で,理解が不十分なまま受験生になってしまった生徒が大変辛い大学入試を強いられているのをみると,小学生のうちから学んでおくことが極めて重要であると感じずにはいられません。
基礎レベルの講座ではテキストの構成に特徴があり,板書や授業内のポイントを書き込む形のテキストになっていて余白部分が目立ちます↓
教育業界において,プリントを用意して授業する先生というのはひと際教育熱心で,それだけ良い授業をすることは定説化しており,小学生にどのように授業をすればよいかをよく研究していることが,このテキストを見た瞬間に伝わってきました。
講義動画を一時停止して,書き込んだり考えたりする時間がその都度取られるところにも,授業の進行が綿密に計算されていることを見て取ることができます。
なお,各学年の最後の講座はまとめとなっており,幅広いジャンルから出題されるところが特徴です↓
上の面積の問題を説明するのに「ピザの例」を持ち出すのは,私が2020年の教育改革のモデル授業を受けた際にもよく目にしました。
学習指導要領が新しくなっても,尾﨑先生であれば時代に沿った内容でもって授業してくれる安心感があります。
なお,小4~小6国語のところでも述べたように,基礎レベルの講座のみ「小学生向け問題集」というコンテンツが利用でき,全範囲のチェックを短時間で行うことができます(学年のところを変更すると見つけられます)。
授業で扱う確認テストよりも難易度は簡単ですが,こちらについては解説や動画などが存在しないため,子どもが間違えてしまった際は親が教える必要がありますが,簡単に子どもの実力を把握できるので是非使ってみてください↓
小学生向け問題集に関しては,以下で使い方についてまとめています↓
応用レベルの講義内容について
次に,応用レベルの講義についてみていきますが,こちらは完全に中学受験用です。
かなりがっつりと勉強することになるので,勉強習慣が身についていない子には不向きですが,真面目に取り組める子であれば大きく学力がアップすることと思います。
担当するのは繁田和貴先生で,小学生時代はサピックスの模試で3年連続全国1位となり,その後は開成から東大に進学するなど,学力で彼の右に出るものはいません。
現在は個別指導塾TESTEA(テスティー)の塾長をしており,15年間で3000人の指導経験があることからも中学受験のスペシャリストだと言えるでしょう。
中学受験の経験がある方だと講義のタイトルを見ればすぐにわかるかと思いますが,小6講座は受験頻出の項目ばかりです↓
小6算数応用レベルの学習内容
相似,面積比,流水算,出会い算,通過算,時計算,速さ,水量,数の問題,N進法,平面や立体図形,旅人算,食塩水など
小学4年生の講座こそ講義数は全部で15しかありませんが,小5~小6ではそれぞれ30講義が用意されており,彼の授業を安価で受けられてしまう機会はスタディサプリだからこそ実現できたことでしょう。
ちなみに,繁田先生の教える塾では90分授業を1回受けるだけでも9000円以上します↓
入会金(22000円)や運営費(19800円)を計算に含めずとも,例えば月に4回授業があれば36960円です。
授業形態が違うため,コスパを比較することはできませんが,上の値段だけでスタディサプリの年間利用料金よりも高くなってしまうわけですから,中学受験の予備校に通う前の準備段階にスタディサプリを使うことは,十分にあり得る選択肢でしょう。
なお,スタディサプリにおける繁田先生の講義スピードは相当に速く,まさに中学受験の予備校的な授業が展開されますし,テキストの問題の質もそれにふさわしい内容となっています。
講座説明には「中学入試の基本的な小問(大問の1や2)を主に扱う」とありますが,これらの講義を通して培った技術はそれ以外の問題(大問の3以降)を解く際にも使うことになりますので,本番で役立つ場面は決して少なくありません。
各講義で解くことになる問題量も10問近くに及ぶことがほとんどで,頻出問題を完璧にできるようになることを目指しましょう。
受験経験がある方であれば必ず一度は解いたことがある問題です↓
繰り返しになりますが,中学受験をする予定のある方は,これらの講義内容をマスターした後で第1志望校の過去問であったり,演習量を補うための参考書だったりを別にやる必要があることを忘れないでください。
別の見方をすれば,中学受験特有のテクニックばかりが身に付く講座とも言えるので,学校の授業が理解できる程度で良ければ「基礎レベル」だけやれば十分でしょう(続けて,中学内容の予習をするのが良いように思います)。
まとめ
以上,スタディサプリの小学講座から小4~小6算数を紹介してきました。
難易度が基礎レベルと応用レベルの2つ(厳密には入門編と基礎と応用の3つ)に分かれていることもあり,幅広い目的に応じて使える講座が揃っていることがわかっていただけたのではないでしょうか。
最後に1つ気になる点を述べれば,スタディサプリのコンセプトである「効率重視の学習」が前面に出過ぎてしまっているところです。
無駄な部分が極力省かれていると言えば聞こえは良いですが,逆に小学生が好きな雑談はあまり見られない傾向にあります。
例えば,「速さ」の講義において「きょり=速さ×時間」といった説明が出てきますが,私の塾だと教師が大げさなリアクションと共に「木の下のハゲじじい!」とか「キティーちゃんは痔!」などと声を張り上げて笑いを取るようなところが,スタディサプリでは確認できません。
流行りのアニメやマンガの話題も権利の面から出せるはずもなく,このような制限付きで小学生に授業をするのは難しいように感じます。
丸暗記を極力減らし,「どうしてそうなるのか」を論理的に説明することによって忘れにくくさせるという工夫は,講座の随所に確認することができますが,楽しい学習ができたと感じるかどうかは人を選ぶ可能性があるということです。
ゆえに,これからスタディサプリの導入を考えていらっしゃる方は,子どもが飽きずに続けられそうかどうかを念頭に置いて,必要に応じて声掛けをしたり褒めたりする要素を加えていきましょう!
スタディサプリには「サプモン」というお楽しみコンテンツが存在するものの,どこぞの通信教育のように添削課題やプレゼントがあるわけではありません。
そのため,親が干渉することは必要で,面倒であってもその日の授業が終わった後に,どれだけできるようになったのかを確認問題などで確認し,説明まで上手にできた際は大いに褒めてやるようにしてください。
週末にまとめて親がチェックするでも構いませんが,何らかの確認作業を行うだけで子どものやる気は大きく変わってくるものです。
結果として,算数を題材とした多くの知的活動(数字を使ったミステリー小説やパズル遊びなど)を楽しめるようになってくればその子の未来は明るいでしょう。
スタディサプリのキャンペーンコードの記事を確認し,まずは無料体験から始めてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。