スタディサプリで小学算数を学ぶ場合ですが,一体どの程度まで学力が付くのでしょうか。
今回の記事では,まず講座の概要について説明することから始め,各講座が小学校の授業から中学受験まで使えるかどうかについて検証してみたいと思います。
スタディサプリの小学算数講座
スタディサプリの小学算数講座ですが,小学4年生から6年生までの3学年のみを対象とし,小学3年生以下の内容は非対応となっていることに注意してください。
公式サイト
現代では小4に満たない段階から塾に通う人も増えているとの話も聞きますが,私自身教えている個別指導ではそのようなケースは極めて少ないです。
例え中学受験させる場合であっても小4以降で十分という考えに今でも変わりありません(一昔前であればそれが当たり前だったんですが)。
もちろん算数で言えばドリルで計算力を鍛えておくと後々大いに役立ちますし,そして何より肝心なのは,読書を中心に,算数の文章問題の内容を正確に理解できる読解力を身に付けることだと思います。
ここで話を戻しますが,小学4年生以降の学年になって,スタディサプリで算数の勉強を本格的に始めようとした場合,講座の難易度を「入門編・基礎・応用」の3つのレベルから選択することが必要です。
その具体的な講義数ですが,
- 小4:入門編35講義・基礎30講義・応用15講義
- 小5:入門編34講義・基礎32講義・応用30講義
- 小6:入門編30講義・基礎32講義・応用30講義
の全268講義となっています。
講義動画の長さ自体は60分に達することは少なく,大体が学校の授業と同じくらいの長さではありますが,復習や板書の時間も考慮に入れると,1講義こなすのに1時間から2時間程度かかると考えてください。
つまり,一学年全部の授業を視聴しようと思えば200時間程度を見込んでおく必要があり,この量は1年かけてやるには十分だと言えるでしょう(ただし受験生の場合を除く)。
ちなみにそれぞれの難易度の目安ですが,
- 入門編:学校の授業を1から理解する
- 基礎:教科書レベルからやや思考力を要する応用まで
- 応用:中学入試の小問レベル
であり,講座内容にほぼ重複はありません。
算数が苦手な子であれば,入門編で始めればよいですし,「学校のテストで満点を」と思うのであれば基礎を,そして中学受験を視野に入れる方には応用がピッタリです。
ちなみに,これらの講座を担当する講師はまったく別の3人となっており,相性的な問題も出にくいというのは特筆すべきことでしょう。
内容についてはこれだけではわかりにくいと思いますので,次章以降でより詳しくみていくことにします。
入門編の講義内容について
まず根幹部分を支える「入門編」から見ていきますが,担当講師は加古希支男(かこきしお)先生です。
彼は経済学部を卒業して一般企業に勤務した後,教育免許を通信で取得,30歳で小学校の先生になったという異色の経歴を持っています。
2013年からは東京学芸大附属小金井小学校の教諭をしており,関わった研究が「第61回読売教育省最優秀賞(算数・数学教育部門)」を受賞したり,書籍も東洋館出版社から2016年に出ているほどの実力者です。
見た目も名前も堅そうな印象を受けますが,真面目な教え方が特徴的で算数が大好きな様子が伝わってきます。
本講座に含まれる講義ですが,例えば小学6年生のものを例にとると,
対称な図形・円の面積・文字と式・分数のかけ算とわり算・角柱と円柱の体積・比と比の値・拡大図と縮図・速さ・比例と反比例・並び方と組み合わせ・資料の調べ方・量の単位
について学ぶことになり,2020年中に,新学習指導要領に沿った内容にアップデートされるようです。
ちなみに赤で示した範囲は高校生になっても使う重要な項目であり,理解不十分なまま過ごしてしまった高校生が大変辛い受験勉強を強いられている現状をみると,小学生のうちから完璧に理解しておくことの大切さは言うまでもありません。
また「文字と式」であったり「並び方と組み合わせ」のように,中学生になってからも大いに役立つ分野も見受けられるので,中学に入っても困らない学力をと思っている方も是非入門編の受講をすすめたいと思います。
やはり,下のレベルであればあるほど,その後役立つ範囲は広いのは事実で,基礎とどちらから学ばせるか悩む場合は,入門編の確認問題をすべてやらせてみてください↓↓
基礎や応用に進む前に,こういった問題が完璧に解けなければなりません。
PDFで簡単にダウンロードできますし,画面で見せたければ講義の最後からもアクセスできますので,お好きな方法をお選びください↓↓
なお,テキスト自体は小学生が学習しやすいように余白が多めにとってあり,ヒントの図表やコメントも見受けられる,まさに小学校の教科書らしい構成です↓↓
実際の学校での授業経験が教え方にも生きていますね!
基礎編の講義内容について
続いて「基礎」と呼ばれる講座についてみていきましょう。
担当する講師は尾崎正彦先生。
新潟大学教育学部を卒業し,浜浦小学校の教諭を経験されただけでなく,新算数教育研究会の奨励賞や文部科学大臣賞,全国算数授業研究会全国理事や新潟市教育委員会認定のマイスター教師になるなど,多くの業績や活動歴のある方です。
時代の要請に沿った思考力の育成を目指す授業は,国公立の中学を受験する場合などにも役立つでしょう。
授業は細部までよく考えられた丁寧な作りとなっていますが,線対称の講義で回文(例:若山やはるか光るは山や川)の説明から入った際には非常にびっくりしました。
講義内容は入門編とほぼ同じ順番で進むものの,より深くまで掘り下げた内容です(2020年4月以降の学習指導要領に対応です)。
もっとも特徴的なのはそのテキストの構成であり,板書や授業内のポイントを書き込む形のテキストになっているため,入門編以上に白い部分が目立ちます↓↓
「プリントを用意して授業する先生というのは,ひと際教育熱心で,それだけ良い授業をされる」というのはもはや定説となっており,小学生にどのように授業をすればよいのかよく研究されていることが,このテキストを見たときに伝わってきました。
電子黒板を使用されるのでやや字体は気になりますが,講義動画を一時停止して書き込んだり考える時間がその都度取られているあたり,綿密に計算されていることがわかります。
なお,各学年の最後の講座は「○年のまとめ」というタイトルの授業になっており,幅広いジャンルからの出題がされるところが特徴です↓↓
面積の問題を説明するのに「ピザの例」を出すのは,実は2020年以降の教育改革でモデル授業を受けた時によく目にしました。
学習指導要領が新しくなっても,緒方先生であれば,時代に沿った内容で講義してくれるという安心感がありますね。
なお,基礎講座でのみ,「小学生向け問題集」というものが利用でき,アプリ上でのみにはなりますが,全範囲のチェックを行うことができます。
解説や動画などはないので,間違えた際には親などが教える必要がありますが,パッと全範囲を教える際には是非使ってみてください↓↓
応用編の講義内容について
最後に説明するのは「応用」の講義ですが,こちらは完全に中学受験用です。
かなりしっかりと勉強することになるので,勉強習慣が身についていない子には辛いでしょうが,真面目に取り組める子であれば大きく学力がアップすることと思います。
担当するのは繁田和貴先生。
小学生時代はサピックスで3年連続1位,その後開成中学に入学し東大経済学部卒と,学力で彼の右に出るものはいません。
現在は個別指導塾TESTEAの塾長をしており,15年間で3000人の指導経験があることからも,中学受験のスペシャリストだと言えるでしょう。
以下の授業タイトルを見るとわかるでしょうか,
相似・面積比・流水算・出会い算・通過算・時計算・速さ・水量・数の問題・N進法・平面や立体図形・旅人算・食塩水など
このような受験頻出の項目でいっぱいです。
小学4年生の講座こそ,講義数が全部で15しかありませんが,小5,小6ともに30講義があり,彼の授業を安く受けられる機会はスタディサプリでなければ実現しなかったでしょう。
ちなみに,繁田先生の教える塾では90分授業を1回受けるだけで8000円ちょっとします。
入塾金などは考えずとも,例えば月に4回授業があれば32000円です。
もちろん授業内容の純粋な比較はできないので,これが高いなどと言いたいわけではありませんが,これだけでスタディサプリの1年分より高くなってしまうわけですから,導入段階としてスタディサプリという選択肢も十分に考えられるのではないでしょうか。
なお,スタディサプリにおける彼の講義スピードは相当に速く,まさに中学受験の予備校的な授業が展開され,テキストの問題もそういった内容が中心となっています。
講座説明には,中学入試の基本的な小問(大問の1や2)を主に扱うとありますが,これらの講義を通して培った技術はその他の問題(大問の3以降)を解く際にももちろん使うことになりますので,役立つ場面は決して少なくありません。
各講義で解くことになる問題量も10問近くに及ぶことがほとんどで,頻出問題を完璧にできるようになることを目指しましょう。
中学受験をされる方はこの後,受ける学校の過去問であったり,演習量を補うための参考書をやる必要があります。
もちろん繁田先生の塾に通うのもありですね。
参考
なお,中学受験特有のテクニックが結構出てきますので,学校の授業レベルをできるようにするだけでしたら「基礎」までで十分でしょう。
まとめ
以上,スタディサプリの小学講座から「算数」について紹介してきましたがいかがだったでしょうか。
レベルが細かく3つに分かれているので,幅広い目的に応じて使える講座が揃っていたのではないかと思います。
最後に1つ気になる点を述べるとすれば,スタディサプリのコンセプトとして「効率よく学習する」ということが第一に挙げられていることでしょうか。
講義内容からは無駄な部分が極力省かれており,小学生が大好きな雑談はあまり見られない傾向にあります。
例えば「速さ」の講義では「きょり=速さ×時間」の説明が出てきますが,塾だと教師が大げさなリアクションと共に「木の下のハゲじじい!」とか「キティーちゃんは痔!」などと声を張り上げたりするであろうところが,スタディサプリにはありません。
もちろん,本講座においては丸覚えさせることは少なく,「どうしてそうなるのか」を論理的に説明することで忘れにくくさせるための工夫はありますが,楽しい学習ができるかどうかは人を選ぶ可能性があるということです。
ゆえにこれからスタディサプリの導入を考えていらっしゃる方は,まずは子どもが飽きずに続けられるかを念頭に,必要に応じて声掛けしたり褒める要素を加えていきましょう。
どこぞの通信教育などのように添削課題があるわけではありません(もちろんスタサプの問題の質についてはまったく問題ありません)。
そういった意味では,親の介入は必要で,面倒であっても,その日の授業が終わった後にどれだけできるようになったのか,確認問題などを解いて説明してもらい,ちゃんと説明できた際は大いに褒めてやるようにしてください。
週末にまとめてでも構いません。
それだけでもだいぶ子どものやる気は変わってくるはずです。
こういった試みを通して,算数を題材とした知的活動を純粋に楽しめるように変わってくれば,スタディサプリを用いた場合のその子の将来は明るいと言えるでしょう。
無料体験から是非始めてください↓↓
なお,小学講座をお得に利用できる「キャンペーンコード」の最新情報や,その他科目を含めた使い方についての記事も別に書いています↓↓
是非参考にしていただけたら幸いです。