スタディサプリの中学講座の中には,小学校の復習や中学校の先取りができる講座があります。
その名も「中学準備講座」といいますが,小学6年生の講座に分類されているものの,一部は中学3年生が使っても十分に役立つ内容です。
例えば,高校入試対策をしていてリスニングでいまいち得点が伸びない人は,本講座で発音の仕方について学んでみると改善がみられるかもしれません。
当記事では,最初に中学準備講座の概要を述べてから,内容を詳しく解説していくことにしましょう!
スタディサプリの中学準備講座とは
スタディサプリの中学準備講座は,2022年春のリニューアルに伴って新規追加されました。
当初は対応している教科の数や内容自体も少なかったのですが,今では英数国理社が揃い,12月から3月にかけて学べるくらいの量があります。
講座の特徴を箇条書きにしてみましょう↓
中学準備講座の特徴
- 対応教科は英語,数学(算数),理科,社会(地理と歴史),国語
- 回数は全教科17回(1回=1日分)の計102回
- 中学の先取り部分には5分程度の動画がある(国語は除く)
- 新中1生はミッション機能を使って学べる
講座にアクセスするには対象学年を「小学6年生」にする必要がありますが,厳密には新しく中学1年生になる学習者を想定した内容です。
なので,多くの方にとって本講座の利用期間は短く,公式の説明だと12月~4月の利用が想定されていて,テキストの代わりに以下のような学習カレンダーをダウンロードすることができます↓

ちなみに,本講座は小学講座や高校・大学受験講座の中には見つけられません。
新中1生であれば「今週のミッション」のところに表示されるため,難なく見つけられるでしょうが,その他の学年の方は自分の強い意思でもって利用する必要があります↓
具体的な方法は,中学講座の講座選択のところから希望する教科を選択し,学年を小学6年生に変えると表示されてくるはずです↓
中でも英語の発音は中学や高校で学ぶ機会が少ないため,その役立ち度は大きなものになります(最近は正しくない発音をする方がクラスで笑われてしまうようです)が,算数の単位や割合は中学の数学や化学の理解を助けてくれますし,歴史も重要な出来事を知っているに越したことはありません。
新中1生の英語に関しては,この他にスタディサプリENGLISHの基礎講座を併用するのがおすすめですが,ここではひとまず中学準備講座だけで良しとしましょう。
次章以降で詳しくみていきますが,講座は小学校の復習と中学の先取りの2つに大別することができ,前者はオンラインドリル形式です。
なので,解答と簡単な解説しかついておらず,あくまで一度習って理解できていることが前提となります。
「あー,あのことね!」と思い出せることが肝心です。
一方,中学の先取りに使うものには動画が付いていますが,これらはおいおい中学講座で登場してくることになります。
なので,普段中学講座で学んでいる,例えば中2・中3生がわざわざ中学準備講座を使って学ぶ理由はないわけです。
それでは中身についてみていきましょう!

英語の中学準備講座のレビュー
まずは中学準備講座で一番利用価値の高い英語からみていきますが,主に4つから構成されます↓
- 単語
- 文法
- 発音(存在しない回あり)
- リスニング問題
以下で個別にみていきましょう。
単語
単語は基本的には4択のクイズ形式(画像左)で,スペル以外に発音を聞いて正解を選びますが,最後の方の問題はスペルを入力することになります(画像右)↓
問題数は10問くらいですので,全部で170語くらいを学べると考えておきましょう。
小学校で英語が教科化されて久しいですが,小学英語はスペルよりも音が重視されていたのに対し,中学英語では正しいスペルで書けるようになる必要があります。
とはいえ,あくまで導入部分ですから難しく考えずにやっていきいましょう。
苦手意識を持ってしまうようでは問題です↓
文法
中学準備講座には文法の講義もあります↓

講義後には内容確認のクイズが数問出されることになりますが,こちらは1度で全問正解できることにはならないと思いますので,「間違えた問題だけ解き直す」ボタンを押して何度も挑戦して,丸になるまで続けましょう。
中学入学後にまったく同じ話を別の先生から聞くことになるかと思います。
その時になって「あー,なんかそんな話をスタサプで聞いたことがあるな」くらいに思い出せれば十分です。
スタディサプリで先取りしておくことで,学校の授業が復習代わりとなってくれます。
発音
発音の授業も動画付きですが,第5回・第7回・第9~13回にはレッスンが存在しないことに注意してください。
大きく「子音編」と「母音編」の2つに分けることができ,前者の動画は全部で6つあり,以下のようなテーマとなっています(カッコに示した数字は登場してくる回を表します)↓
- lとrの違い(1)
- hとfの違い(2)
- bとvの違い(3)
- ʃとsの違い(4)
- θとsの違い(6)
- mとnの違い(8)
初回の授業がlockとrockの違いから始まるあたり,よく考えられているように感じました。
というのも,これは日本人が苦手とする発音の最たるものであり,私が学生の頃にはrice(お米)とlice(シラミ)でその違いについて説明され,その事実に大変驚いたことがきっかけとなって,それ以来発音を熱心に勉強するようになったものです。
スタディサプリの講義動画では,以下のように口内の様子を目で確認することができます↓
口の開き方以上に舌の位置が大切なので,よく研究しておいてください。

続いて母音編ですが,全4講義で,
- æとʌの違い(14)
- ouとɔ:の違い(15)
- i:とɪの違い(16)
- u:とuの違い(17)
について学ぶことができました。
capとcup,lowとlawのような単語を比較しながら,その音の違いについて理解していきましょう。
講義動画の後には,扱った単語を中心にいくつかの聞き比べを行うことができます↓
3つの単語を聞いて1つだけ違う発音のものを見つけたり,2種類の単語の音声に続いて流れた音がどちらの音だったかを当てる出題形式です。
このとき,発音記号やスペルが極力登場してこないところが良い工夫だと思っていて,あくまで音だけで判断できるようにしているところがまさに小学6年生向きだと言えるでしょう。
ただし,自分で発音するトレーニングはないので,別にしっかりと声を出す練習を積んでおく必要があります。

発音だけを学びたい方は,1講義20分ほど(動画10分+問題10分)の所要時間ということで,3~4時間もあればすべてを視聴することができます。
その他,θを扱う回でðの音に言及することはあったものの,tやd,auやɪəといったあらゆる音をカバーしているわけではないことには注意が必要です。
導入部分として生徒が発音に興味をもつきっかけとして使うには十分ですが,網羅的に学ぼうと思った際は別の教材を使う必要があることを覚えておきましょう。
スタディサイトでは英語の発音記号の読み方と発音のコツという記事を書いているので,そちらも参考にしてみてください。
他教科の中学準備講座のレビュー
スタサプにある,その他教科の中学準備講座についても簡単に確認しておきましょう!
主な構成は教科間で変わらず,やることは大きく分けて
- 復習用のドリルを解く
- 小学校で未習の範囲に関する講義動画を観る
ことの2つです。
数学,理科,地理,歴史,国語に用意がありますが,ここでは算数を例にみていきましょう!
前者の使い方としては,上に示したようなドリルを解いていくだけですが,問題は1つの講義について大体10問程度があり,計150問くらいの分量です。
そこまで詳しくはないものの,解答や解説が付いています。
とはいえ,講義動画が存在せず,幅広い範囲からの出題となるために,なかなかに難しいと感じる生徒も出てくるでしょう。
できなかった部分は,小学講座に戻って集中的に学び直すのがおすすめです。
特に「単位」と「割合」と「比」については,中学に入ってから差が付きやすい分野なので(化学でも出てきますし),念入りにチェックしておいてください↓
スタサプ中学準備講座の復習で扱う算数分野
計算,単位,速さ,割合,比,比例,反比例,図形,場合の数,資料の調べ方
講義動画は中学範囲の先取りのところで出てきますが,一部は復習講座にも存在し,そこでは数学オリンピックの問題を解くといった,子どもの興味を引く内容のものになっています↓
先取り動画は中学1年生の講座と重複した内容になっていますが,何度学んでも多すぎるとはなりません↓
スタサプ中学準備講座の先取りで扱う数学分野
正負の数,数直線,素数,素因数分解,加法,減法,文字式,等式,不等式
国語は,前半に小学校で習う漢字の読み書きを書く問題が10問くらいあります。
後半は国文法の問題があり,最後は読解問題もありました。
ただし,すべてが小学校の復習となるため,解説動画は存在しません。
理科は生物・化学・物理・地学をすべて1講座にまとめているため,社会科と比べると半分くらいの量になります。
また,社会において公民分野には準備講座自体が存在しないことにご注意ください。
両者とも中学の先取り部分には講義動画が存在します。

さいごに
以上,スタディサプリの中学準備講座についてまとめてきました。
指導方針から考えるに,中学準備講座で優先すべきは多くの知識の量を得ることよりも,学習習慣を身に付けることです。
なので,主体的な学びができるよう,最初に紹介した学習カレンダーを上手に活用することをおすすめします。
内容としては,英数国理社の5教科6科目において小学内容の復習と中学内容の先取りができるものでした。
中でも英語は,早期から音感を養える意味で重要度が高めのように思われます。
というのも,リスニングは共通テストでみられるように配点に占める割合が増しており,自分が発声できる音のみしか聴き取ることができないために,早期に発音について学んでおくことが重要であると考えられるからです。
聞き比べクイズなどは,大人が解いてみても困惑する難易度であることにすぐ気が付くでしょう。
中学準備講座を通して,全然できない自分に気づかされる小・中学生も少なくありません。
ところで自分の発音が正しいかどうかは,その音をネイティブに聞いて判断してもらうか機械で波長を検査するしかありませんし,後者においてはその結果が良好であってもネイティブが首をかしげることもあります。
その他,自分にとってわかりやすい説明とわかりにくい説明があるもので,歯並びによっても発音は違って出てきたりもするものなので,ひとまずは講座に出てきた問題を全問正解できるようになることだけを心がけておくのが良いように思われます。
発音学習では忘れた頃に学び直すことも有効なので,学年が上がるたび,長期休暇に入るたびに問題だけ解き直してみるという勉強法も考えられるでしょう。
その他の科目も学んでおいて損はありません。
基本的には学習習慣を身に付ければ良いと言いましたが,あまりにできない分野が見つかった場合には,周りの大人が解説するか,該当部の講座を小学講座を使って学ばせるか,はたまた別に市販のドリルなどを解かせるようにしてください↓
といったわけで,中学準備講座はちょっとした内容ながらも使い勝手に優れるものでした。
是非,スタディサプリの学習を頑張ってください!
最後までお読みいただきありがとうございました。