今回はスタディサプリENGLISHに用意されている「基礎講座」について取り上げ,そこに含まれる学習コンテンツや使い勝手についてみていくことにしましょう!
日常英会話であろうとビジネス英語であろうとTOEICであろうと,英語力の土台となるのは何と言っても中学レベルの基礎力です。
裏を返せば,基礎的な部分に不安材料が残っているうちは,どれだけ難しいことを学んだとしても英語ができるようにならないことがわかります。
なので,文法は「Ken likes Hanako.」の例文,そして英単語は「nice」レベルから,さらには学校であまり習うことがなかった発音のルールについても初歩の段階から学び直してみませんか。
スタディサプリENGLISHの基礎講座とは

スタディサプリENGLISHの基礎講座には
- 基礎英文法
- 基礎英単語
- 基礎リスニング
- 基礎発音
という4つの学習コンテンツが含まれ,以下の有料コースで利用することが可能です(ただし,TOEIC対策コースでは基礎発音を除く)↓
基礎講座が含まれるコース
これ以外に,1分クイズというコンテンツも全コース共通で使えるのですが,こちらは無料会員でも利用できる点と,発音を聞けないところが異なります。
後者は更新頻度に優れるものの,前者の基礎講座の方は有料会員しか使えないだけあって,トレーニング内容ははるかに充実していて様々な能力を伸ばすことが可能です。
初心者向けということで,中学~高校初期の比較的わかりやすい内容を扱っているとはいえ,取りこぼしがあっては困りますし,英会話やTOEICに必要な内容を高速で学習することができます。
それほど時間はかからないので,簡単だと感じてもとりあえず一通りはやってみるようにしましょう。
構成は以下の通りですが,これについては次章以降で詳しく説明します↓
基礎講座の構成
基礎英文法:全30レッスンを通して英文法の基礎を学ぶ
基礎英単語:全16レッスンで中学~高校の1346語を学ぶ
基礎リスニング:全11レッスンで音法について学ぶ
基礎発音:全9レッスンで発音の基礎を学ぶ
なお,普段スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースで学んでいる方であれば,1つ目の基礎英文法と似た目的のコンテンツとして,パーフェクト講義-英文法編が別に存在することをすでに知っているでしょう。
ですが,上のレビュー記事内で指摘したように,その解説において文法用語が頻繁に飛び交うことになるため,内容についていけないと感じる方が少なくないのです。
そんなときには,この基礎英文法から始めてみてください。
スムーズにステップアップしていけるように思います。
次に単語ですが,基礎英単語で学んだ後,TEPPAN英単語・熟語やビジネス英単語・熟語または日常英単語にそれぞれ繋げていくことができます。
一般的に文法と単語は,「英語」という車の両輪とされますが,基礎リスニングや基礎発音での学びを通して,リスニング力の底上げを行うことも可能です。
それでは,1つ目の基礎英文法から詳しくみていきましょう!
基礎英文法について

基礎英文法は,2019年の7月に実装された学習コンテンツです。
監修は高橋恭子氏,動画では山田治氏が登場しますが,彼についてはパーソナルコーチプランの講師紹介記事内でも紹介しました。
レッスンの数は全部で30個あり,扱うことになる文法項目は以下の通りです↓
文の成り立ち,名詞,形容詞,副詞,前置詞,接続詞,動詞,時制,助動詞,能動態,受動態,不定詞,動名詞,分詞,代名詞,比較,関係詞,仮定法,文型
詳細は省きますが,よくみると,中学から高校までのすべての文法項目を網羅しているわけではありません。
加えて,内容もそこまで深堀りしていない(例えば,分詞の項目において分詞構文が出てきたりはしません)ので,英文法を得意にしたい方にしてみれば,先述した小中高生向けのスタディサプリの方がずっと有用なはずです。
ですが,そちらの講座で学ぶ場合にはかなりの時間がかかってしまいます。
大学受験用の講座ですから当然ではあるのですが,英会話やTOEICの勉強に限るのであれば,重箱の隅をつつくような文法問題を解けるようになる必要はありません。
それよりも,リスニング量を増やし,頻出の表現だったり問題を解くためのコツだったりを学ぶ方がはるかに効率的です。
基礎英文法の強みは中学~高校初級レベルの英文法を速習できるところにあり,以下の3つの特徴がそれを可能にしています↓

1つ目は,英文法の全範囲から要点だけに絞って解説しているところで,学習者は試験攻略に必要十分な量を学ぶことが可能です。
さらに,理解を助けるイラストや例文が豊富にあるため,易しい印象を受けるように思います。
学生時代に文法の授業が退屈すぎてすぐに眠たくなってしまった方も,安心して受講することが可能です。
3つ目の特徴は,解説講義の時間が5分程度に調節されているところで,スキマ時間を生かした学習がウリのスタディサプリENGLISHなだけに,こちらも「らしい」特徴と言えるでしょう。
基礎英文法の使い方について

次は,基礎英文法の使い方について解説しますが,基本的には頭から順番にやっていくだけです。
初心者にとって難しいとされる復習のタイミングに関しては,スタディサプリ側で予めよく考えられています。
想定している学習時間は,1レッスンあたり20分といったところでしょう。
なので,1日に2レッスン勉強することにした場合でも40分しかかかりません。
これが全部で30レッスンあるわけですから,基礎英文法を全部終えるのに必要な期間は半月~1ヶ月と計算できます。
それくらいの短期間で集中して英文法の基礎を固められることになるので,無理することなく,程よい達成感を味わうことができるでしょう。
今回は,上記画像に示した「名詞」を例にやってみたいと思います。
チェック問題を解く
トレーニング1つ目のチェック問題ではいきなり数問を解くことになりますが,これはパーフェクト講義などと同じ仕様です↓

とはいえ,あくまで小手調べの段階となるため,ここでの選択肢は2つだけとなっていて,答えを決めると次のページですぐに正誤がわかります↓

このように,文章での丁寧な解説が付いてはいるものの,この後に動画を使ってさらに学び直すことになるため,理解ができない部分があっても気にせず飛ばしてしまってOKです。
逆に,全問正解できた場合には次の動画を飛ばしてしまい,3つ目の問題演習に即座に移って構いません。
解説講義を聴く
ここまでの内容を見る限り,特に真新しさは感じられないでしょうが,基礎英文法で特徴的なのは以下の解説講義です↓

最初私は,講師が黒板を使って講義を行う学習スタイルを想定していたので,そういったものが一切出てこないことにまず驚きました。
おまけに,アニメーションをふんだんに使っているため視覚的に面白い&カラフルでわかりやすく,各文法項目の理解を深めることができます。
先ほど解いたチェック問題からも一問が取り上げられ,より詳しい説明が追加されていました↓

わずか5分間の動画ですが,最後にそれまでに語られた内容をまとめてくるあたり,よく考えられた構成です↓

まとめの時間をこのように設けることで,そうしなかった場合と比べてより忘れにくくなることが知られており,私も塾で生徒に教える際,講義終わりに振り返りの時間を必ず入れるよう心がけています。
問題演習でおさらいする
レッスンの最後に問題演習を解き,今回習った文法知識をおさらいしましょう!
全部で10題からなり,前半は2択ですが,後半の5問は4択となって難易度が増しています↓

以上3つのトレーニングで1つのレッスンが終了となりますが,ここまで飛ばさずに全部やってみても,わずか20分しかかかっていません。
これだけ短い時間であっても,なんだかんだで13問を解きましたし,何度も繰り返し説明してもらえたので,その日に習ったことが頭の中に定着したように感じられました。
確認テストで完成させる

これまでは名詞のレッスンをみてきましたが,その後,副詞や接続詞などのレッスンを続けてやっていくと,上のような確認テストが出てきます。
これは,ここまでに学んだ文法事項を一気に振り返ることを主な目的としていて,問題数は全部で10問です。
これまでの問題演習でやったことがあるもののみが登場してきます。
このとき,1問でも間違えた問題があれば,該当箇所のレッスンに戻って復習してください。
1つの文法項目につき2問が出題されますが,確認テストがあるおかげで,少し時間が経ってから記憶を呼び起こすことができ,学習効果が高まります。
基礎英単語とその使い方について

3つ目に,基礎英単語の説明に移りましょう!
この学習コンテンツは,これまでの基礎英文法や基礎リスニングと異なり,特徴や使い方に関する動画が用意されていません。
そのため,早速本格的に使っていくことになるわけですが,基本的な使い方は,アプリ上でクイズを解き,間違えたものにチェックを入れたり,例文や発音を確認したりすることになります↓

搭載機能は,スタディサプリENGLISHの各種単語帳にあるものと同様なので,難易度だけが中学~高校レベルに下げられたものだとお考えください(復習トレーニング機能も利用可能です)。
10語ずつまとまったセットごとに,それまでの正解率や学習時間が一覧表示されて一息つけるので,数分のスキマ時間を見つけるたびにちょこちょこ学んでいくようにすると,たとえ1日100語がノルマであっても,朝昼晩かけて簡単に学ぶことができます↓

ちなみに,基礎英単語で扱うレベルですが以下のような10語が出てきます。
みなさんはどのくらい正解できるでしょうか↓
please(どうぞ),dinner(夕食),wash(洗う),week(週),go(行く),father(父),play(遊ぶ),parent(両親),drink(飲む),all(すべての)
「これくらい簡単だよ!」と言われる方は是非試していただきたいのですが,スタディサプリENGLISHの単語問題では,選択肢を無くしたり出題順をランダムにしたり解答モードをリスニングにしたりといった出題設定の変更が可能です。
変更することで,同じ問題セットを解くことになってもまるで別物のような感じがします。
例えば,以下左の画像は通常の出題方法ですが,その設定を変更し,「選択肢無し」かつ解答モードを「リスニング」にした例が右です↓

useは文字を見てしまえば簡単ですが,音だけを頼りに意味を答えようとすると,youやyouthと誤解してしまうかもしれません。
また,これら単語の学び方に決まりはありませんが,スタディサプリENGLISHでは5秒以内に英単語の意味が答えられることを目標としています。
たとえすべての問題に正解できたとしても,意味を言うまでに時間がかかってしまうようではいけません。
瞬発力を高めるためにも何度かやり直す必要があることを忘れないでください。
参考までに後半の単語にあたる1061~1070語の10問も載せておきましょう↓
some,average,o'clock,foot,cash,choice,hill,pressure,weekday,scare
ここまで進むと,最初に学んだ10問よりもはるかに難しい単語が並ぶことになります。
基礎リスニングとその使い方について

全11レッスンという短さで,英文にしたときの発音のコツを中心に学べる基礎リスニングは,2021年の9月に新しく登場しました。
追加されたということは,これまでのコンテンツだけでは不十分なところがあることを意味しているわけで,これと次章の基礎発音を使って,リスニングに必要な基礎力を付けていきますが,こちらは1レッスン10分ちょっとで終えられるので,ボリューム的には1~2時間の講座です。
基礎リスニングの担当講師はサマー・レイン先生で,YouTubeやTVで見かけた方も少なくないでしょう。
扱う内容は英語の音声変化に関するものがほとんどですが,アメリカ英語とイギリス英語の違いについてのレッスンもあります。
なお,発音と言っても,母音や子音について1つずつ学んでいくようなものではありません(それに関しては,次章で紹介する基礎発音の講座が対応しています)。
レッスンでは,英語を文で読んだときに特定の部分で起こる音声変化について解説しており,中学や高校で学ぶことのない内容が多くを占めていました。
初めてこうした話を聞いた方は,目から鱗が落ちるように思われます。
レッスンの流れは,すでに紹介した基礎英文法のそれ(問題を解いて動画で解説され,最後に演習する)とほぼ同じですが,「リピーティング」という練習が入るのが特徴的です↓

実際の順に従ってみていきますが,チェック問題ではディクテーションを行います。
音声変化を起こしている部分が虫食いになっているので,その部分を埋めましょう↓

ここでは,He hasと書かれていてもHe'sと短く読むことがテーマとなっており,2問ほど解きました。
基礎講座の中では,私はこの基礎リスニングが一番難しいように感じています。
とはいえ,速度変更ができるので,わからない問題はゆっくり(0.6倍速や0.8倍速)にして聴き直してみてください。
次に,今回の聞き取りのポイントについて動画で学びますが,英語ネイティブであるサマー先生が約5分で詳しく教えてくれます↓

Where doesもWhere’sと読むところは盲点でした。
こういった内容は基礎レベルをはるかに超えていますが,使われている例文は中学レベルだったりしますし,発音記号を使わずにカタカナで解説しているところに親しみを覚えたりもするでしょう。
問題演習はディクテーションとリピーティングからなりますが,チェック問題と同じ形式で,再度ディクテーションを行ったあと自分で実際に発音したものを録音し,お手本と聞き比べることができます↓

解説はシンプルですが,ポイントを確認するだけであればこれで十分です。
それよりも音声変化のルールを知ることが重要で,チェック問題よりも多い5~6問を解きます。
レッスンの合間には,基礎英文法のときと同様,確認テストがあり,3つのコンテンツの中ではレッスン数が一番少ないものの,しっかりと何度も聞き直すことで基礎的なリスニング能力を育成することが可能でした。
基礎発音とその使い方について

発音の基礎を1から学べる基礎発音は,2022年5月に追加されました。
なぜだかわかりませんが,TOEIC対策コースの基礎講座には本講座を確認できません。
ビジネス英語コースと新日常英会話コース限定のコンテンツとなっています。
なお,担当講師はイムラン・スィディキ先生で,抑揚(intonation)と強弱(stress)を意識して,実際に声を出して練習しましょう!
「Tom can play the piano.」という文章を1つ取ってみても,文末を上げ調子で読めば疑問文のように尋ねることができますし,抑揚の付け方次第では,自分がそのことを訝しんでいることを相手に伝えることすら可能です。
一方,強弱に関しては,Tomにアクセントを置くことで「JohnじゃなくてTomが」という意味合いが加わりますし,canを強く読めば「Tomは実際にできる」ことが強調され,pianoを強く読むと「ギターやドラムといった他の楽器ではなくピアノを弾ける」ことを強調できます。
基礎リスニングと同様,こちらも量的にはさほど多くはないものの,英語の発音ルールとして以下のようなものがあることを知った状態で今後学んでいくのとそうでないのとでは,理解の深さが変わってくるはずです↓
基礎発音で扱う項目
音声変化の基礎,LとR,SとSH,「ア」の発音,破裂音,摩擦音
この他に確認テストが2つあります。
レッスンは,数分の動画を視聴して音の出し方を学んだ後(画像左)で,実際に発音練習します(画像右)が,ここで自分の録音した発音が文字に起こされるので,正しく認識されたかどうかがわかって斬新です↓

rightですが,正しく発音できないと,lightやwhiteなどと誤って認識されてしまうでしょう。
単語レベルで発音練習した後は,文単位で練習します↓

問題数は少ないですが,発音に興味を持つきっかけとしては十分です。
もっと深く学びたい方は,英語の発音記号の読み方と発音のコツの記事を読んでみてください。
まとめ
以上,スタディサプリENGLISHから,基礎講座にある4つの学習コンテンツについてみてきましたがいかがだったでしょうか。
TOEICコースに存在する解説系の学習コンテンツで難しさを比較すると,
- パーフェクト講義>パーフェクト講義-英文法編>基礎講座
のように,難易度的には最も簡単な部類に位置しており,解説講義の取っつきやすさは群を抜いています。
また,ビジネス英語や新日常英会話コースを受講されている方にとっては,「中学英語だけで英会話の7割以上が理解できる」と言われていることから,基礎講座を受講することで,会話内容がより理解しやすくなるでしょう。
基礎講座の登場で,ますますそのオールインワンの性質を強めたスタディサプリENGLISHですが,TOEIC攻略に必要なすべての対策がこのアプリ1つで可能になるので,思った以上に使い勝手が良いです。
文法が苦手という方は多いですが,できるようになればなるほど英文を正しく読める精度が高まりますし,自分で英語を話したり書いたりする際に文法理解がしっかりできているとその後の成長の伸びが変わってきます。
単語やリスニングも然りで,知っているのと知らないのとで学びの質が変わってくることは先述した通りです。
是非,積極的に使ってみてください!
なお,スタディサプリENGLISHに含まれる学習コンテンツについてまとめた記事もあるので,宜しければ,併せてどうぞ。
最後までお目を通していただき,誠にありがとうございました。