今回は,スタディサプリENGLISHに用意されている「基礎講座」を取り上げ,そこに含まれる学習コンテンツの概要や使い勝手についてみていきましょう!
日常英会話であろうとビジネス英語であろうとTOEICであろうと,英語力の土台となるのは,やはり中学レベルの英語力です。
逆に言えば,基礎的な部分に不安材料が残っているうちは,どれだけ難しいことを学んだとしても英語ができるようにはなりません。
文法としては「Ken likes Hanako.」から,そして英単語は「nice」のレベルから,さらに発音のルールについても初歩から学び直してみませんか。
スタディサプリENGLISHの基礎講座とは
スタディサプリENGLISHの基礎講座には
- 基礎英文法
- 基礎英単語
- 基礎リスニング
- 基礎発音
という4つの学習コンテンツが存在し,すべての有料コースで利用可能です(ただし基礎発音のみ,TOEIC対策コースでは利用できません)↓
実はもう1つ,1分クイズというコンテンツが全コース共通で利用できますが,無料会員でも使える点と,ビジネスシーンにおけるいざという時の備えになる点で異なります。
なお,今回紹介する基礎講座の方は有料会員しか使えない分,トレーニング内容はずっと充実していて様々な能力を伸ばすことが可能です。
中学~高校初期の比較的わかりやすい内容を扱っているとはいえ,それだけに取りこぼしがあっては困りますし,英会話やTOEICに必要な部分を高速で学習することができます。
なお,構成は以下の通りとなっていますが,これについては次章以降で詳しく説明します↓
基礎講座の構成
基礎英文法:全30レッスンで英文法の基礎を学ぶ
基礎英単語:全14レッスンで中学~高校の1206語を学ぶ
基礎リスニング:全11レッスンで音法について学ぶ
基礎発音:全9レッスンで発音の基礎を学ぶ
なお,普段,スタディサプリENGLISHのTOEIC対策コースで学んでいる方であれば,1つ目の基礎英文法と同じような目的のコンテンツとして,パーフェクト講義-英文法編が別に存在することを知っているかもしれません。
ですが,上の記事でも指摘したように,その解説の中で文法用語が頻繁に飛び交うこともあって,内容についていけないと感じる方も少なくないでしょう。
そんなときは,この基礎英文法をやり遂げることから始めてみてください。
スムーズにステップアップしていけることと思います。
また2の単語に関しても,TEPPAN英単語やビジネス英単語または日常英単語に繋ぐことが可能です。
3や4で発音の仕方を学ぶことで,リスニング全体の理解に役立ちます。
それでは,1つ目の基礎英文法から詳しくみていきましょう!
基礎英文法について
基礎英文法は,2019年の7月に実装された学習コンテンツとなります。
監修は高橋恭子,動画では山田治が登場しますが,山田氏についてはパーソナルコーチプランの講師紹介記事でも登場していましたね。
レッスンの数は全部で30個で,扱う文法項目は以下の通りです↓
文の成り立ち・名詞・形容詞・副詞・前置詞・接続詞・動詞・時制・助動詞・能動態・受動態・不定詞・動名詞・分詞・代名詞・比較・関係詞・仮定法・文型
よくみると,中学から高校までのすべての文法項目を網羅しているわけではありません。
加えて,内容もそこまで深堀しない(例えば分詞の項目において,分詞構文が出てきたりはしません)ので,英文法を得意にする目的であれば,同じスタディサプリの中学講座や高校講座の方がずっと向いているはずです(参考:関先生の高3英文法講座)。
ですが,上のような講座だと時間がかかって仕方ないですし,英会話やTOEICの勉強において,重箱の隅をつつくような文法問題を解けるようになる必要はありません。
それならば,リスニングの量を増やし,問題を解くためのコツを学ぶ方がずっと効率的でしょう。
しかし,本コンテンツの強みは,中学英語~高校初級レベルの英文法を速習できる点にあり,3つの特徴がそれを支えます↓
1つ目は,英文法の全範囲から要点だけに絞って解説していることですが,このことで,学習者は必要十分な量を学ぶことが可能です。
さらに,理解を助けるイラストや例文が豊富にあるため,きっと易しい印象を受けるように思います。
学生時代に文法の授業が退屈すぎて,すぐに眠たくなってしまった方も安心して受講してください。
3つ目の特徴は,解説講義の時間は5分程度に調節されているということで,スキマ時間を生かした学習がウリのスタディサプリENGLISHなわけですから,こちらも「らしい」特徴でしょう。
基礎英文法の使い方について
次は基礎英文法の使い方について解説しますが,頭から順番にやっていくだけです。
スタディサプリ側が想定している学習時間としては,1レッスンあたり20分といったところでしょう。
もし1日に2レッスン勉強したとしても40分しかかかりません。
これが全部で30レッスンあるわけですから,この基礎英文法を全部終えるのに必要な期間は半月~1ヶ月です。
短期間に集中して英文法の基礎を固められることになるので,無理することなく,程よい達成感が味わえるでしょう。
今回は,上記画像にある「名詞」をやってみることにします。
チェック問題を解く
トレーニング1つ目のチェック問題では,いきなり問題を数問解くことになりますが,これはパーフェクト講義などと同じ仕様です↓
とはいえ,あくまで小手調べの段階ですので,ここでの選択肢は2つだけ。
答えを決めると,次のページですぐに正誤がわかります↓
このように丁寧な解説があるのですが,この後に動画を使って学び直すので,理解できない部分があっても気にせず飛ばしてしまってOKです。
逆に,全問正解できた場合は次の動画を飛ばしてしまい,3つ目の問題演習に移って構いません。
あくまで動画は,上の解説を理解できない方向けのものだと考えておきましょう。
ただし,正しい根拠で解けたことを確認するため,上の解説については読んでおきたいものです。
解説講義を聴く
ここまでの内容には,特に真新しさはありませんでしたが,基礎英文法で特徴的なのは,以下の解説講義だと思います↓
最初私は,講師が黒板を使って講義を行うスタイルを想像していたので,そういったものが一切出てこないことにまず驚きました。
アニメーションをふんだんに使っているので視覚的に面白い&カラフルでわかりやすく,各文法項目の理解を深めることができます。
先ほど解いたチェック問題からも一問取り上げ,より詳しい説明が追加されていました↓
わずか5分の動画ではあるのですが,最後にそれまでに語られた内容をしっかりとまとめているあたり,よく考えられた構成です↓
まとめの時間を設けることで,設けなかった場合と比べるとより忘れにくくなることが知られており,私も塾で生徒に教える際,講義終わりに振り返りの時間を必ず入れるようにしています。
問題演習でおさらいする
レッスンの最後に問題演習をやって,今回習った文法知識をおさらいしましょう!
全部で10題からなり,前半は2択ですが,後半の5問は4択となり難度も増しています↓
以上3つのトレーニングで1つのレッスンは終了となりますが,ここまで飛ばさずに全部やっても,わずか20分しかかかっていません。
これほどの短時間であっても,なんだかんだで問題数は13問解くことになりましたし,何度も繰り返し説明してもらえたので,その日習ったことが頭の中にしっかり記憶されたように感じました。
確認テストで完成させる
これまでは名詞のレッスンのみについてみてきましたが,その後,副詞や接続詞などのレッスンを続けてこなしていくと,上のような確認テストが出てきました。
ここまでに学んだ文法事項を一気に振り返ることが目的で,問題数は10問です。
内容はこれまでの問題演習でやったことのあるものが登場します。
このとき,1問でも間違えた問題があれば,該当箇所のレッスンに戻って完璧にしてください。
1つの文法項目につき2問が出題されてきますが,確認テストのおかげで少し時間が経ってからもう一度復習することができ,より学習効果は高まります。
基礎英単語とその使い方について
次に「基礎英単語」の説明に移りましょう!
この学習コンテンツは,基礎英文法や基礎リスニングと異なり,特徴や使い方に関する動画は用意されていません。
そのため,早速使っていくことになりますが,基本となる使い方としては,アプリ上でクイズを解き,間違えたものにチェックを入れたり,例文や発音を確認するなどが可能です↓
もっとも,これらの機能はスタディサプリENGLISHの各種単語帳にあるものと同様なので,難度だけが中学~高校レベルに下げられたものだと考えてください(ただし復習トレーニング機能はありません)。
10語ずつまとまったセットごとに,それまでの正解率や学習時間が表示されてきては一息つけるので,数分のスキマ時間を見つけるたびにちょこちょこと学んでいくようにすると,1日100語をノルマにしても,朝昼晩かけて簡単に学ぶことができます↓
ちなみに,基礎英単語で扱うレベルとしては以下のような10語が一度に出てきます。
みなさんはどのくらい正解できるでしょうか↓
please(どうぞ)・dinner(夕食)・wash(洗う)・week(週)・go(行く)・father(父)・play(遊ぶ)・parent(両親)・drink(飲む)・all(すべての)
「これくらい簡単だよ!」と言われる方は是非試していただきたいのですが,スタディサプリENGLISHの単語問題では,選択肢を無くしたり,出題順をランダムにしたり,解答モードをリスニングにするといった出題設定の変更が可能です。
そうすることで,同じ問題セットを解くことになっても,もはや別物になります。
左の画像は通常の出題のされ方ですが,その設定を変更し,「選択肢無し」かつ解答モードを「リスニング」にした例が右です↓
useは文字として見てしまえば簡単ですが,音だけを頼りに意味を答えようとすると,youやyouthなどと混乱してしまうかもしれません。
また,これら単語の学び方について決まりはありませんが,スタディサプリENGLISHでは3秒以内に英単語の意味が答えられることを目標としています。
たとえすべての問題に正解できたとしても,意味を言うまでに時間がかかってしまうようでは,瞬発力を高めるために何度かやり直す必要があることをお忘れなく。
参考までに1061~1070語の10問も載せておきましょう↓
some・average・o'clock・foot・cash・choice・hill・pressure・weekday・scare
基礎リスニングとその使い方について
全11レッスンという短さで,文にしたときの発音のコツを中心に学べる基礎リスニングは,2021年の9月に新しく登場しました。
1レッスン10分ちょっとで終了できてしまうので,ボリューム的には1~2時間で終えてしまえる講座です。
担当講師はサマー・レイン先生で,YouTubeで見かけた方もいるかもしれませんね。
扱う内容は,英語の音声変化に関するものがほとんどですが,アメリカ英語とイギリス英語の違いについてのレッスンもあります。
なお,発音と言っても,母音や子音について1つずつ学ぶものではありません。
それに関しては,次章で紹介する基礎発音という講座が担当します。
レッスンでは,文として読んだときにある部分で起こる音声変化について解説しており,中学や高校で学ぶことのない内容がほとんどでしょう。
初めてこうした話について聞く人は,目から鱗が落ちることと思います。
レッスンの流れは,すでに紹介した基礎英文法のもの(問題を解いて動画で解説,最後に演習する)とほぼ同じですが,「リピーティング」という練習が入るのが特徴的です↓
実際の順に従ってみていきますが,チェック問題では,ディクテーションを行います。
音声変化を起こしている部分が虫食いになっているので,それを埋めましょう↓
ここではHe hasと書かれていても,He'sと短く読むことがテーマとなっており,2問ほど解きましょう。
基礎講座の中では,私はこの基礎リスニングが一番難しいと思います。
速度についても変更できず,わからない問題は何度聞き直してもわからないでしょう。
次に,今回の聞き取りのポイントについて,動画で学びますが,ネイティブであるサマー先生が約5分で詳しく教えてくれます↓
Where doesもWhere’sと読みますからね。
こういった内容は基礎レベルをはるかに超えていますが,使われている例文は中学レベルだったりしますし,発音記号を使わずにカタカナで解説しているところに親しみを覚えるでしょう。
問題演習はディクテーションとリピーティングからなりますが,,チェック問題と同じ形式で再度ディクテーションを行ったあと,自分で実際に発音したものを録音し,お手本と聞き比べることができます↓
解説はシンプルですが,ポイントを確認するだけであればこれで十分です。
それよりも,音声変化のルールを知ることが重要で,チェック問題よりも多い5~6問程度を解きます。
レッスンの合間には,基礎英文法のときと同様,確認テストがあり,3つのコンテンツの中ではレッスン数が一番少ないものの,しっかりと何度も聞き直すことで,基礎的なリスニング能力を養成することが可能です。
基礎発音とその使い方について
発音の基礎を1から学べる基礎発音は,2022年5月に追加されました。
なぜだかわかりませんが,TOEIC対策コースの基礎講座に本講座は確認できません。
ビジネス英語コースと新日常英会話コース限定のコンテンツとなっています。
なお,担当講師はイムラン・スィディキ先生です。
抑揚(intonation)と強弱(stress)を意識して,実際に声を出して練習しましょう!
Tom can play the piano.
という文章1つとってみても,文末を上げて読めば疑問文のように尋ねることになりますし,抑揚の付け方によっては,自分がそのことを訝しんでいるということを相手に伝えることも可能です。
一方,強弱に関しては,Tomを強く読むことで「JohnじゃなくてTomが」という意味合いが加わりますし,canを強く読めば「Tomは実際にできる」ことが強調され,pianoを強く読むと「ギターやドラムといった他の楽器ではなくピアノを弾ける」ことを強調できます。
こちらも基礎リスニングと同様,それほど大きなボリュームはありませんが,英語の発音のルールとして以下のようなものがあることを知った状態で学ぶのとそうでないのとでは,理解の深さが変わってくるのは確かです↓
基礎発音で扱う項目
音声変化の基礎・LとR・SとSH・「ア」の発音・破裂音・摩擦音
この他,確認テストが2つ加わります。
レッスンは,数分の動画を視聴して音の出し方を学んだ後(画像左)で,実際に発音練習してみます(画像右)が,ここで自分の録音した発音が文字に起こされるので,正しく認識されたかどうかがわかるのが特徴です↓
rightですが,正しく発音できないと,lightやwhiteなどと誤って認識されてしまうでしょう。
私なりのコツですが,rの音はその前に「う」の音を入れるように発音すること,lは日本語のラリルレロに近い音だと考えておくことです。
単語レベルで発音練習した後は,文単位で練習します↓
問題数は少ないですが,発音に興味を持つきっかけとしては十分です。
もっと深く学びたい方は,英語の発音記号の読み方と発音のコツの記事も読んでみてください。
まとめ
以上,スタディサプリENGLISHから「基礎講座」にある4つの学習コンテンツについてみてきましたが,いかがだったでしょうか。
TOEICコースに存在する解説系の学習コンテンツで比較すれば,
- パーフェクト講義>パーフェクト講義-英文法編>基礎講座
のように,難易度的には最も簡単な部類に位置しており,解説講義の取っつきやすさは群を抜いていました。
また,ビジネス英語や新日常英会話コースを受講されている方にとっては,中学英語だけで英会話の7割以上が理解できると言われていることから,基礎講座を受講することで,会話の内容がよりよく理解できることと思います。
基礎講座の存在で,ますますそのオールインワンの性質を強めたスタディサプリENGLISH。
すべての対策がこのアプリ1つで可能になるので,思った以上に使い勝手が良いです。
文法が苦手という方は多いですが,できるようになればなるほど英文を正しく読める精度は高まりますし,自分で英語を話したり書く際に文法理解がしっかりできているとその後の成長の伸びが変わってきます。
単語やリスニングも然りで,知っていると知らないとで学びの質が変わってくるのは確かでしょう。
是非,積極的に使ってみてください!
なお,スタディサプリENGLISHに含まれる学習コンテンツについてまとめた記事もあります。
宜しければ,併せてお読みください。
最後までお目を通していただき,誠にありがとうございました!