今回は,スタディサプリの中学講座から中3英語をピックアップし,完全準拠問題集としておなじみの「教科書トレーニング(出版社によってワークやガイドとも呼ばれる)」と,その学習内容を比較してみましょう!
また,そのベースとなる教科書の構成についても,まず最初に確認してみたいと思います。
中間や期末テストで内申点アップを狙う中学生で,スタディサプリの導入を検討している方は,是非参考にしてください!
中学英語の教科書の構成について
中学英語の教科書だけをしっかり勉強し,定期テストで満点近く取れるようなら万事解決なのですが,実際問題そう上手くはいかないのはなぜでしょう。
スタディサプリと完全準拠問題集の比較をする前に,まずは教科書内容についてみていきたいと思います。
今回検証に使ったのは東京書籍のNEW HORIZONで,全国の公立中学校で普通に使われているものです。
高校受験を意識して,学年は中学3年生用のものを選びましたが,中学1,2年生の教科書はこれよりもっと単純な構成になっているので,今回の内容が理解できれば問題なく対応できるでしょう。
本教科書の構成ですが,いくつかの「ユニット」と呼ばれるまとまりからなります。
中間テストであれ期末テストであれ,大体2つのユニットが1回のテスト範囲に相当するとお考えください。
なお,1つのユニットはさらに細かく5つのサブユニットに分けられ,以下はその1例になります↓
ユニット1は「Pop Culture Then and Now」というタイトルになっていましたが,「1-1 Starting Out」というのがサブユニットになります。
サブユニットの構成についてみてみると,
- 語句のまとめ
- 英文
- 文法の解説と練習
- 発展課題
といった主に4つの内容からなっていました。
語句のまとめでは,サブユニットにある英文から難しめの語句を取り上げています。
各ユニットごとにテーマとなる文法事項が決まっているのですが,ここでは,「受け身の文の作り方・受け身の疑問文・第4文型SVOOの受け身・第5文型SVOCの受け身」について,例文と例題を使って学ぶわけです。
このそれぞれをサブユニットごとに学んでいきますが,各サブユニットの最後には発展課題が存在し,ここで取り組む内容は,より高度なリスニングやライティング作業となります。
違う角度から学ぶことで,理解をより深めることに繋がるわけです。
ところで,最後にあるサブユニット(今回は1-5 Activity)のみ,毛色がやや異なっています。
ここでは,すべてが問題演習となっていて,これまでのサブユニットで学んだ内容の復習や,さらに表現力を磨くための総まとめ的な構成です↓
さすが教科書といった構成で,メリハリをつけてうまく作られていますね!
ですが,教科書はあくまで「理解するための教材」であって,「類題を解いたり応用できる状態」になるためにはもっと練習が必要です。
一般的には,教科書で「わかり」,ワークで「できる」状態にするのが基本とされています。
ところで,学校の授業では,丸付けも含めて先生と生徒が一緒になって解くわけですから,例題の答えはすぐにわかってしまいますし,書き込むよう指導される場合もあるでしょう。
もちろん,それで構いません。
教科書には必要な情報をどんどん書き込んで,ワークを解いていてわからないものが出てきたときの参考書として使うのが一般的です。
さて,ここまでのユニット1を,今度は教科書に完全に準拠した参考書を使って学ぶとどうなるのでしょうか。
次章で詳しくみてみましょう!
完全準拠問題集の構成について
今回は市販されている完全準拠問題集の中から新興出版社の「教科書トレーニング(現在は教科書ぴったりトレーニングと呼ばれます)」を例にみていくことにしますが,帝国書院のものだと「教科書ワーク」,東京書籍版ですと「教科書ガイド」などと呼ばれるようなもののことです。
私も昔はこういったものを買って勉強していたので,なんだか懐かしい気持ちになります。
その内容についてみてみると,構成としては「スタートアップ」と3つの「トレーニング」が基本です↓
- スタートアップ:基礎知識の確認と語句のまとめ
- トレーニング1:教科書の要点や重要事項を確認する
- トレーニング2:応用力を身に付けるための問題演習
- トレーニング3:本番を見据えたテスト形式での出題
まず最初に,スタートアップを使って文法知識の基本を確認するため問題や解説の他,教科書に出てきた語句についても演習できる内容になっています↓
平叙文と全ユニットにわたる語句が見開きページに収められています。
教科書に出ていたサブユニットごとに学んでいくわけではなく,1つのユニット全体を通してみたときに基礎だと思われる内容や語句を網羅的に学ぶようです。
この時点で,普段の復習に使うものではないことがわかりますね。
定期テスト前の総復習向きです。
続けて,トレーニング1ですが,左ページで受け身の今度は疑問文についての解説,右に基本レベルの問題がまとめられており,右下にある教科書内容の理解を問う問題(完全オリジナル)を含めると,15問弱のボリュームになっていました↓
トレーニング2では,トレーニング1で学んだ内容を,より深く総合的に演習することができます↓
例えば左下の問題をみると,ユニット1で学んだ受動態の平叙文や疑問文,そして第5文型の受動態が英作文という高度な問題形式で出題されていました。
ここでも右下にオリジナルの英文が登場し,受動態についての出題がなされています。
最後に,よりテスト本番に近い形式のトレーニング3を行うことで,ひとまず学習は終了です↓
このままテストになってもおかしくない内容に仕上がっており,最後には条件英作文も出題されていました。
受動態を使った文を,指定された語数で書けという内容です。
この他,教科書トレーニングには特典として,以下のようなコンテンツがありました↓
スマホアプリ,別冊付録(重要文の確認とリスニング練習が可能),単語カード,CD(2と3の音声を収録したもの),定期テスト予想問題,入試問題にチャレンジ
1つ目のスマホアプリは年間1万円弱かかるサービスなので利用する人は少ないでしょうが,別冊付録や単語カード,さらには定期テスト予想問題は本番の対策に役立ちます。
予想問題は大体ユニット2つごとに1つ用意されていたので,是非とも試験前に解きたいですね↓
ところで中学校では,教科書以外にも学校が配布したワークを家庭学習用に持たされていますね。
その内容は,完全準拠問題集と似ているようですが,構成がだいぶ異なります。
ワークは基本,サブユニットごと。
つまり,その日に習ったことを復習する際に使うことができますが,教科書トレーニングだと,例えば学校で1-1を習った日にスタートアップを解くわけにはいきません。
先述したように,1-3や1-4で学ぶ内容も含まれてしまっているからです。
学校のワークは自力でこなし,さらにテスト前にもうちょっと練習したいと思ったときに使うのが教科書ガイドの役割となります。
なお,ワークに関しては,書き込んで宿題として提出してしまう学校がほとんどで,試験前には問題としての機能を果たさないことになりますから(答えがもう全部に書き込んであるわけですから),そういった中学に通う生徒に完全準拠問題集はおすすめです。
スタディサプリの中学英語講座について
続いて,スタディサプリの中学講座を使ってユニット1を学習する場合についてみていきますが,今回は「中3英語(東京書籍 NEW HORIZON)」を受講することになります。
公立中学で使用している教科書に対応した名前の講座が用意されているのがほとんどで,他はSUNSHINEやNEW CROWN,ONE WORLDやHere We Go!,BLUE SKYのものが確認できるはずです。
ここでは講義とテキスト(ダウンロードする以外に購入も可能)を別々にみていきたいと思います。
2021年度から新課程が始まった関係で教科書内容は一新され,受動態は中2の最後にやることになりました。それに合わせてスタディサプリの中学講座もリニューアルされましたが,ここでは説明の都合上,適宜色々な学年の講義を組み合わせて説明していることにご注意ください。
講義
スタディサプリの中学英語で学ぶ魅力は,何と言っても,1講義あたり5分前後の動画による説明があるところでしょう↓
完全準拠問題集やワークでは文字を読んでいくだけですが,人が教える授業にはやはり特別な何かがあります。
中学英語講座を担当するのは竹内健先生と丸岡幸子先生で,スタディサプリで主要科目の英語を担当するくらいですから,教える能力はお墨付きです。
ただ解き方を教えて暗記させるのではなく,しっかり理解して正解を導けるようになることを目指します。
「この問題は,確かこっちが答えだった」といった具合に選択肢の場所で答えを記憶していたり,ただなんとなくで答えを選んでいるようでは,応用力はいつまでたっても身に付きません。
というのも,実際のテストにおいて全く同じ問題というのはほとんど出題されないからです。
多くの問題を解くのは,それらに共通するエッセンス的な概念を理解するためであり,それに気づかないままでいると,「あれだけ努力したのに成績が伸びない」などと,むしろ自信を喪失してしまうことにも繋がりかねません。
頑張った子が特に陥りやすい罠だと言えるでしょう。
しかし,上のような動画で説明してもらうことで,難しそうな問題も簡単に思えてくるから不思議なものです。
文字で読んだだけではわからなくても誰かに習うと意外と簡単だったという経験は,これまでに何度かしてきているのではないでしょうか。
まさにそれと同じことを,スタディサプリの中学講座を通して感じてもらえるはずです。
とはいえ,「ただ画面を見ているだけで,本人のためにならないのでは?」と心配する声も上がるかもしれません。
ですが,そもそも普段勉強をあまりしない子にとってみれば,動画を観ようとするだけでも大きな前進であるわけですし,スタディサプリの講師陣は優秀ですから,相手を授業に引き込む会話術とメリハリのある授業展開で飽きることなく授業にスッと参加できます。
しかもリニューアルされて,5分程度の短い動画をちょこちょこ見て学ぶ方式に変わったこともあって,より取り組みやすくなりました。
文法の講義が終わるとまとめの時間がしっかり設けられ,以下のような確認テストを解くことになります↓
また,教科書に出てきた単語は,音声付きの選択問題で簡単に振り返ることができ,
本文内容の解説も,「本文対策」という動画で確認できました(ただし教育出版,光村図書,啓林館のものには存在しません)↓
スタディサプリの動画は,復習時以外にも授業を欠席した際に役立てられる他,予習段階において利用するのもおすすめです。
テキスト
スタディサプリ中学講座のもう1つの魅力は,圧倒的な量と質を誇るテキストです。
ユニット1つあたり20ページ以上のボリュームがあるものがほとんどで,問題や解説が載っているだけでなく,余白がたっぷり取ってあることで書き込みがしやすく,充実した文法書へと作り変えていくことができます↓
PDF形式でダウンロードして印刷することができるだけでなく,冊子の形で購入することも可能です。
ユニットに出てくる重要表現については,テキストの中で触れられていないことには注意が必要なのですが,これは学校のワークやノートを見返すようにしてください。
アプリを使わず,テキストで確認テストに取り組むこともできます。
講義に出てきたポイントは,テキストに必ずまとめられているので,動画では講師の説明に集中することにしましょう。
全ての英文に和訳が付いている他,例題の解説も丁寧に書かれていました。
スタディサプリと完全準拠問題集との比較
最後に,スタディサプリと完全準拠問題集の内容と料金を比較して終わりたいと思います。
まずは内容の比較をしてみましょう↓
内容面での違い
スタディサプリ:優秀な講師による動画とボリューミーなテキストが魅力。文法事項の予復習に使え,教科書の解説や音声付きで単語も確認できる。ただし,総合的な問題がなく,時間内に一定量の問題を解くような使い方はできないため,日常的に用いるのがおすすめ。
完全準拠問題集:テスト2~3週間前の総復習の時期になったら利用する。学校のワーク代わりにはならず,出題形式はワークとさほど変わらない。ただし,問題の難易度はスタディサプリより高く,重要語句などは,より教科書内容に沿ったものになっている。
スタディサプリも試験2~3週間前のタイミングで定期テスト対策講座が出現したりしますが,それだけを使えということではありません。
普段は動画のあるスタディサプリで予習して授業に臨み,試験前は教科書ガイドを使って本番形式で学ぶようなハイブリッド形式で対策することも十分に考えられます。
なお,料金についてもまとめておきましょう↓
料金面での違い
スタディサプリ:月額2178円,テキスト1320円
完全準拠問題集:1冊1364円程度
スタディサプリは利用期間によって料金が変わるため,同じ条件での比較はできませんが,最もコスパが高くなる使い方としては,試験前の1ヶ月や長期休暇を利用した予習のような短期集中受講となるでしょう。
例えば試験前の1ヶ月だけ利用すると考えて,1学期の中間試験~学期末試験の間で5回(5ヶ月)契約すると,年間の利用料金は10890円となります↓
完全準拠問題集の方は,英語以外の科目が増えるにつれて,2倍,3倍と料金がかかってくるのに対し,スタディサプリの方は追加料金なしで全科目使い放題であることも忘れてはいけません。
教科書内容に限らず,高校受験や英検対策にも同じように用いることができるというのが,これまでに触れてこなかった魅力です。
こうして考えてみると,より多くの方に役立つと思われるのはスタディサプリの方で,普段の学校の授業についていけなくなってしまっている場合には,もっと前の段階に戻る(例えば中3生が中2範囲をやり直す)こともできます。
教育改革が進み,学校でコミュニケーション重視の授業が増えるにつれ,知識を詰め込むための作業は自宅学習頼みになってきたわけですから,独学できる教材は1つ決めて持っておきたいものです。
その時の選択肢の1つに,スタディサプリを検討してみてください。
最新のキャンペーン情報についてもまとめています↓
最後までお読みいただき,ありがとうございました。