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反転学習のメリットとデメリット!成功させるポイントは

コロナ禍以前の話になりますが,勉強用アプリがすでに教育業界に参入し始めており,「反転学習(反転授業)」と呼ばれる勉強法について耳にするようになったのもこの頃でした。

実際,2017年の10月には,反転学習を取り入れた楽天の英語学習サービスである「Rakuten Super English」が本格的に開業し,世間を賑わせました(参考)。

残念ながらわずか2年後の2019年にはサービス終了となってしまいましたが,あくまでビジネスモデルとしては成り立たなかっただけであって,反転学習自体に非はありませんでした(対象となる科目は英語に限りません)。

そこで当記事では,そんな反転学習のメリットとデメリットに加え,授業の恩恵を最大限享受できるポイントについて今一度考えてみたいと思います。

反転学習とは

裏面から見た葉っぱの様子

そもそも「反転学習」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。

もともとは海外で「flipped learning」として行われていたものを,日本が後から取り入れたものとなります。

「反転」と付くからにはそもそも元となる学習スタイルがあるわけで,それが何かわからなければ,反転も何もないでしょう。

なので,まずは従来の学習の流れについて思い返してみることにしますが,これには,今の大人が子どものときに行っていた勉強法を浮かべるだけでよく,

  1. 学校で先生に何かを習う
  2. 自宅で問題集などを解く

といった流れです。

しかし,学習アプリを始めとするオンライン教材を比較的簡単に利用できるようになった現代においては,場所や時間を問わない新しい学びが可能となっています。

それを上手く利用したものの1つが反転学習であり,手順は

  1. いつでもどこでも使える教材で未習範囲を独学する
  2. 学校で理解を深め,疑問点の解消や反復演習を行う

となり,従来の授業スタイルが反転しているわけです。

これまで学校で学んだものを家で復習していたと思いますが,今や家で予め学んでおいたものを学校で復習することになっています。

単に予習先行というわけでもなく,授業スタイルも変わったものとなり,黒板や教師に向かって授業を受けるようなことはありませんし,先生が何かを教えることもないです。

管理人
管理人
授業によって何かを学ばせる意図はありますが,決まった結論に導いたり,特定の知識を学ばせることは主な目的ではありません。

さて,この反転学習,従来の学習法に比べて一体どのような違いを生むことになるのでしょうか。

次章では,反転学習のメリットについてみていきたいと思います。

 

 

反転学習のメリット

実りのイメージ

いくつか考えられる反転学習のメリットですが,まず自宅での予習段階において,自ら理解しようとする態度(自主性)が養われることでしょう。

私は普段,塾で教えていますが,従来の学習スタイルで授業を行ってばかりいると生徒が講師に依存しすぎるようになってしまい,他の誰かに教えてもらうことなしには自分では何もできない(しようとしない)子どもに育ってしまいます。

私たち講師は教えるプロですから,わかりやすく説明することはたやすいです。

学校で1週間かけて学ぶ範囲であっても,わずか2時間の授業で終わらせることは十分に可能で,確かに時間対効果(タイパ)は大変高いと言えるでしょう。

しかしそれでテストの成績が上がって万事解決ということにはなりません。

楽に点を取れることを知った生徒は「誰かに習った方が簡単にわかるのだから,自ら進んでわざわざ何かをしようとしなくていいや」などと考えるようになり,授業を受けて宿題を終えてしまうと,それ以上何かをしようと思わなくなってしまいます。

そうならないためにも,自ら学びを得ようとする態度を身に付けることは重要です。

反転学習は教師から講義動画や何らかの課題を与えられてそれを理解したり解決したりしようとするところから始まりますが,それを終えてからの学びは従来のものと大きく異なります。

予習の時点で理解できなかった部分を実際の授業を通して補完し,周りへの質問や話し合いを通して理解を深めていかなければなりません

授業が単に課題の答え合わせで終わることは少なく,別の課題を与えられることが大半でしょう。

もちろん,それを解くためには予習した知識が生きるわけですが,最近は,決まりきった結論が用意されていないことも多いです。

このように,答えが複数考えられる課題に対して,教師やクラスメイトといった他人と意思疎通を図り,自分の意見で相手を納得させるというプレゼンテーション能力が上昇することは反転学習のメリットだと言えます。

特に集団で反転学習を行なう場合,教師は単なる進行役にすぎず,生徒たちの声が教室内に響き渡ることとなり,そこから得られる資質・能力はSociety5.0においてますます重要視されるものでしょう↓

後述しているように,授業開始時にはすぐ課題を確認されることになるため,やっていなければ話し合いに参加できませんし,授業中には自分の意見を求められるためぼんやりと過ごすこともできません。

当事者意識を持って,周りの意見を必死で理解しようとする意識でいなければならなくなります。

こうした焦りにも似た感情が,授業に向かう本気度や学習意欲を高めるというのも,従来の授業にはない反転学習のメリットです。

 

 

反転学習のデメリット

不吉な空模様

逆にその反面,教材や教師の質が確保され,さらには学習計画がきちんとしていなければ反転学習はうまくいきません

この学習スタイルを成功させる第1の鍵となるのは予習ですが,学習者が独力でなんとかこなせる課題を設定することが肝心です。

しかしこれは反転学習を行なう生徒の数が増えるほどに難しくなり,個別に教えるのであれば担当生徒の特性に合わせた適切な課題を出せても,学力に差がある集団を相手にするとなれば大変でしょう。

実際の例を挙げると,集団授業は以下のような形で進行します↓

  1. 予習してきた内容について話し合う
  2. 新たな課題について話し合う
  3. 導かれた結論をいくつか提示する
  4. まとめや発展学習を行なう

例えば上の2において,一部の学力の高い生徒たちだけが積極的に発言して,一部の生徒が黙ってしまったりおうむ返しになったりするデメリットは付き物です。

そこで,教師は全員が何かしら発言するように仕向けては,3や4において多くの生徒が納得できるような授業にしていくことを求められます。

集団授業を行う場合,基本的には学力が低い層に合わせる必要があるため,予習で与えられる課題は誰もが独学できるものにしておかなければならず,わかりやすい教材を用意したり,必要に応じて複数個のヒントを用意しておく必要が出てくるでしょう。

とはいえ,あまりにも簡単にできてしまうものだと,できる生徒にとっては退屈で意欲が削がれてしまうわけで,教える教師や生徒の力量に授業結果が大きく左右されてしまうのは,集団相手に反転学習を行なう場合の明らかなデメリットです。

 

 

反転学習を成功させるためのポイント

順調に育った植物

当サイトは学ぶ側の目線で記事を書いていますので,ここでは「生徒自身が反転学習をうまく進めるためのポイント」に絞ってみていきましょう!

管理人
管理人
一応述べておくと,教師の方は課題設定に(内容以外に記述の仕方にも)尽力してください。生徒が何をすればよいかを明確に理解できることが大前提です。

まずは反転学習の予習に使う教材が以下の条件を満たしているか確認してみてください↓

  • モチベーションが維持できる
  • すき間時間に利用できる

1つ目ですが,モチベーションを維持するために必要なのは「楽しさ」ですが,「わかるからこそ楽しくなる」ことも見逃せないポイントです。

もちろん,勉強して知識が増えることを純粋に喜べる生徒であれば申し分ないですが,多くの学習者にとって勉強は辛いものであるため,その苦しみに耐えて自分が成長したことが実感でき,「頑張って良かった」とか「やれば自分はできるんだ」といった気持ちに至らなければ続きません。

授業でそのような体験ができることはもちろんですが,自宅においても,小さな頑張りを見つけては自分を褒め,自己肯定感を高めることを意識しましょう↓

ところで,自宅で過ごす時間の方が学校にいる時間よりも長いのは確かですが,最近の子どもの勉強事情を鑑みるに,平日はやることが多すぎてまとまった時間はほとんど取ることができないはずです。

そのため,学校の行き帰りのちょっとした時間や寝る前のわずかな時間,さらには週末を利用して効率良く学習することを心掛けてください。

具体的には,良質な教材を使って大量の問題を解いて時間を費やすことを避け,短い時間での学習を1日に数回設ける学習習慣を身に付けることが,反転学習を成功させるためのポイントと言えるでしょう。

例えば,通信教育で有名なZ会の公立高校生向けの教材でも,今は1科目につき週1時間の勉強を目安に作られています。

今や大手予備校なみの知名度を誇るスタディサプリのような教材であれば,動画でわかりやすく教えてもらえますし,1回の学習時間が数分であっても区切り良く学べる作りになっているわけです↓

プレゼンテーションによる自己表現力に難がある生徒は,自分の意見を客観的に評価できる練習が必要で,そのためには推薦や小論文対策で用いられる「ルーブリック」のような評価基準について知っておくと良いでしょう。

これもスタディサプリの総合型・学校推薦型選抜対策講座などで学ぶことができます。

 

 

おわりに

反転学習を行なうためのパソコン

今ではすっかり反転学習の効果が認められ,自立的な生徒の育成と対話重視の教育スタイルを掲げる塾やサービスも増えてきました。

成果を上げているものの共通点としては,教師の質はもちろん,モチベーションの維持や短時間に学べる教材がしっかりしていることが挙げられます。

「量より質」や「すきま時間」がキーワードでした。

反転学習において,予習や授業にどのような課題が設定できるかはまさに教師の腕の見せ所です。

できる生徒はどんどん学んでいけるように,AIドリルに代表されるような個別最適化学習や無学年教材を積極的に使っていきましょう!

とはいえ,デジタルの影に隠れたアナログ的な手法が不要とはなりません。

むしろ,答えのない問題を授業で扱うことになるからこそ,授業外では答えが明確に1つに決まるような課題を解いたり,多くの課題をスピード重視で解いたりすることも重要なのですが,ひとまずのところは欲張らず,量よりも質の方を意識していきましょう。

それができるようになってから,量もこなしていってください。

当記事で指摘した点を意識して,上手に反転学習と付き合っていただけると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
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スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのははるか昔のことですが,教授から「ここ数年で一番の秀才」と評されたことは今でも私の心の支えです。小学生から高校生にまで通ずる勉強法を考案しつつ,気に入って使っているスタディサプリのユーザー歴は6年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです!

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