学習指導要領

反転授業(反転学習)と勉強アプリの台頭

勉強アプリが少しずつ社会に受け入れられてくると同時に,反転学習(または反転授業)と呼ばれる勉強法について耳にすることが増えてきました。

2017年10月には,楽天の英語学習サービスである「Rakuten Super English」が本格的に開業し,世間を賑わせました(現在個人としては幼児向けのアプリなどが購入できます)。

今回は,そんな反転学習のメリットとデメリットに加え,実際に反転学習を取り入れている例を見ながら,今後の学習法がどのように変わっていくのか考えてみたいと思います。

 

 

反転学習とは

tunaolger / Pixabay

そもそも「反転学習」という言葉を知らない方も多いかと思います。

「反転」というからには,通常の学習があり,それを反転させた学習スタイルを「反転学習」と呼びます。

従来の学習の流れは,

①塾で先生からある範囲を習い演習する。

②宿題を自宅で復習する。

このようなものでした。

ですが,学習アプリを始め,オンラインの動画授業などの豊富な教材が自由に利用できるようになった現代において,教育の方法は変わりつつあります。

反転学習では,

①生徒が教材を使って未習範囲を独学する。

②塾では疑問点の解消や反復演習や発展事項を扱う。

といった具合に授業スタイルが反転するわけです(①と②が逆に)。

 

さて,この反転学習,従来の学習法に比べて一体どのような効果があるのでしょう。

以下で反転学習のメリットを見てみましょう。

 

 

反転授業のメリット

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まず,自分で理解しようという自立性が養われます。

通常の塾に通っていると,講師に依存しすぎてしまい,誰かに習わないと自分では何もできない(しようとさえしない)子どもが生まれてきてしまいます。

講師は教えるプロですから説明はわかりやすく,学校で1週間かけて学ぶ範囲であってもわずか2時間の授業で終わらせることは簡単です。

そしてこの場合,時間対効果は最高のように思えます。

ですが,その一方で,生徒側としては,

「誰かに習った方が簡単にすぐわかるようになるんだから,自分で進んで何かやらなくていいや」

と無意識的に刷り込まれてしまい,言われたことだけをやるマシーンと化し,何も自分からしなくなってしまうわけです。

 

反転学習では,予習の時点で大事なポイントを自分で発見し,わからなかった部分については,どこがどのようにわからなかったのを明確にし,さらに実際の授業で講師にこちら側から質問しなければいけません。

さらに,そのときの質疑応答を介して,講師(他人)と意思疎通を取る時間が増えるわけで,自分の意見を正確にわかりやすく相手に伝えられる練習にもなります。

このようなアウトプット中心の授業で培われる能力というのは,今後の入試改革(教育改革)の柱ともいえる大切な能力であり,今後,試験や社会でますます問われるようになっていくはずです。

 

 

反転授業のデメリット

Pexels / Pixabay

逆にその反面,教材の質教師の質さらには管理の質が徹底されていないと反転学習はうまくいきません。

反転授業で大切になってくるのは予習段階にありますが,そこでうまく学習できることが大切です。

塾に週に1回通うとしても,授業時間はたかだか数時間です。

残った6日間,つまり予習に使える時間の方が圧倒的に長いことになります。

ですが,そんな膨大な時間があっても,上の3つの質が揃っていなければ無意味に過ごしてしまうでしょう。

いくら自力で予習をしろと言っても,わかりにくい教材であれば身にも付きませんし,つまらないので長続きもしません。

また,どういうペースでどこまでやったらいいのかなどはしっかり教えないと,ちょっとやって「もうお終い」となってしまうかもしれません。

もちろん予習がうまくいっているかどうか,管理する作業も大切になります。

そういった,うまくいかない例を踏まえて先回りの教育をしているのが,先に述べた楽天であったりZ会やリクルートだと言えるでしょう。

 

 

反転学習を成功させる3つのポイント

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そういった企業から学べる,反転学習をうまく進めるためのポイントは,

モチベーションの維持

すき間時間に取り組める

周りの大人による管理

の3つが主なものになっています。

まず最初に,モチベーションの維持に役立つのは楽しさです。

楽しいからこそ勉強は続くわけです。

もちろん勉強内容自体が楽しいと思えるのであれば申し分ありませんが,大体の子どもにとって勉強は辛く苦しいもの。

ですが,その苦しみに耐えて,自分が成長したことが実感できたときに,「あー,よかった!」「やればできるんだ!」といった嬉しさが生まれるわけです。

 

次に,最近の子どもは平日はやることが多すぎてほとんどまとまった時間は取れません。

そのため,学校の行き帰りのちょっとした時間や,寝る前のわずかな時間,さらには週末を利用して,効率良く学習することが求められています。

例えばZ会の公立高校用の教材は週に1時間の復習だけで学校の勉強についていけるように工夫されていますし,スタディサプリやRakuten ABCmouse においてはスマホやタブレットを用いて「すき間時間」に取り組めるような学習教材が前提になっています。

さらに,ITツールという性格上,保護者や監督者が子どもの学習の進歩状況を逐一確認できるため,親と子と先生の間に共通の理解が生まれることになります。

子どもが塾で頑張っていることを,親も管理画面を通して知っている

それがさらなる好循環へとつながっていくわけです。

 

 

スタディサプリの例

本サイトのいくつかの記事で紹介しているスタディサプリですが,先のリンク先をみていただけた方はわかっていただけかと思いますが,2017年の9月1日から渋谷区のすべての区立小中学校において,自主学習教材として利用開始が始まりました。

生徒と教師に1人1台タブレットが配られ,子どもがいつでもどこでも学べる学習環境が同区では整備されていますし,昨年には文科省に学びのツールとして認定されたのは記憶に新しいです。

子どもの学習環境は変わっていきますが,それに合わせて教師や親も意識改革を行っていくべきだというのが,2017年5月に行われた「教育ITソリューションEXPO」でのセミナー内容でした。

そこではしきりに「タブレットは新しい文房具だ」と言われていましたが,こういった真新しいサービスも積極的に使っていただけたらと思います。

 

 

最後に

Lalmch / Pixabay

少しずつ反転学習の成果が認められ,主体的な生徒の育成と対話重視の教育スタイルを取り入れる塾やサービスが増えてきました。

成果を上げているところでは,教師の質はもちろん,モチベーションの維持やすき間時間を意識した教材作成や,親が子供の勉強の進歩状況を管理できるシステムがしっかりしています。

逆に言えば,古い価値観にとらわれて,新しいIT技術に見向きもしないところは,未来から目を背けている怠慢な経営をしているので,選ぶ側としては避けたいところです。

もちろんデジタルとアナログの間に埋まらない溝があるのも事実ですが(例えば紙の本とデジタルの本),それらが持つ効果的な使い方であったり,活用の仕方を理解し,適宜使い分けていくことこそが,今後の社会でますます重宝される能力の一つではないでしょうか。

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スタディサイト管理人

都内の塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をWebにまとめてみました。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。
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