現在,多くの中高生がスマートフォンを所持しています。
恋愛・友情・趣味には欠かせませんが,「学習」という観点においてはどのように役立てることができるのでしょうか。
今回の記事では,教育改革が進む中学校・高等学校におけるスマホを使った勉強法について,いくつかまとめてみることにしましょう。
中高生におけるスマホの利用状況
現在,自分専用のスマホを持っているのは高校生だとほぼ100%に近く(2020年一般向けモバイル動向調査),中学生でも6~7割ほどだとされています(小中学生ICT利用調査2019)。
後者のデータをみると,小6までは家族で共有利用しているところが多いですが,中学に進学したのを機にスマホデビューをする家庭が多いようです。
スマホを持つ理由として大きいものの1つに「SNSが使えること」が挙げられます。
LINEやインスタグラムまたはtwitterなどを使って,学校関係の連絡網として使う場合も多いですし,やはり思い出や趣味の共有をするのが,現在の中高生の間では当たり前になっているようです。
コロナ禍によりZOOMによるオンライン授業も導入されたところもありますが,教育改革によって今後情報端末の使用が増えてくることが影響し,学校側のスマホへの見方もだいぶ緩和されてきたように思います。
スマートフォンの学校への持ち込みについて,中学生と高校生(1,283人)に尋ねたところ,
- 持ち込みを許可している中学は19.5%
- 持ち込みを許可している高校は88.1%
という結果になりました(2019年MMD研究所調べ)。
数年前も同社の調査をみましたが,許可する学校の数は年々増加傾向にあるそうです。
MMD研究所の結果をさらにみていくと,中学においてはスマホ自体の持ち込みはOKでも,許可申請が必要であったり授業中は先生に預けるなどの厳格なルールが4割近くの学校で存在しており,高校生も約6割の学校で授業中に使用することができません。
とはいえ,休み時間に使用可能な高校が3割程度あり,宿題のメモや調べ学習に役立っているようです。
スマホを巡る議論ではゲームやいじめや犯罪などのマイナス面が目立つことが多いですが,今回はプラスの面に目を向け,スマホを用いた勉強法についてみていくことにしましょう。
スマートフォンを使った勉強法
具体的には,授業中と授業外の合わせて4つの活用事例についてまとめてみました。
授業の記録を残す
授業の記録をスマホに残す。
この使い方は授業中に実行できるものの中で,最もポピュラーなスマホ活用術だと思います。
黒板の写真を撮っておくのは,ノート術でいうところの「保存」を行うためです↓↓
普段勉強をやらない子にとってみれば,宿題の範囲を写真に撮るだけでもそれは立派な勉強法の一つとなり,課題を出すことが成績に直結するわけですから,「いつまでに宿題をやらないといけない。」などタイムマネージメントをする際に役立ちます。
「授業中に人が話しているときに,カメラを黒板に向けることは失礼ではないか。」と怪訝な顔をしている方は,学会発表やシンポジウムに出かけてみてください。
私も驚いたのですが,パワーポイントのスライドが変わるたびに,大人であっても今やほとんどの出席者がスマホを取り出しては撮影しています(慣れるまでは異様な光景に映るかもしれませんが)。
その他,情報を保存するという観点からは,スマホを使って授業の動画や音声を残したり,友人が上手にまとめたノートの写真をシェアする場合もありました。
もちろん,後で聞けないからこそ必死になってノートに残すという側面も見逃せません。
どちらが良いかについてはその場で決めるようにしてください。
わからないことを検索する
次の使い方は,授業中にわからなかった語句をインターネットを使って検索することです。
これはスマホが最も得意とする勉強法でしょう。
というのも,いったん検索をかければ数万件もの記事が表示されるわけですし,参考書と異なり,豊富な画像と動画を使うことで色や音声を通して理解を深められます。
「百聞は一見にしかず」と言いましょうか。
より理解がしやすくなります。
最近では教育改革でICT技術を授業に取り入れるにあたり,校内のWi-fi環境が整いつつあります↓↓
生徒の学力差というのは「どういった語句に興味をもち検索をするか」といった箇所に表れてきてしまうものの,何にせよ,興味を持って調べることは大切です。
昔は図書館に行くことが調べ物をするときの基本でしたが,現在はスマホで調べる学習法が主流です。
情報の確かさについて判断できるだけの目は必要かもしれませんが,そういった情報リテラシーについて教えるのも教育改革における授業の役割だと考えなければなりません。
宿題などの連絡事項を管理する
先ほど,黒板を写真として保存するところでも言いましたが,スマホは管理ツールとして優秀です。
多忙な社会において,自立した立派な社会人として生きるためには,目的から逆算して,しっかりと自分の予定を管理できる資質・能力が大切になってきます。
学生のうちから,そういった自己管理の習慣を身に付けておきたいものです。
スマホには,宿題や連絡事項をメモとして残す機能だけでなく,それを予定表にまとめたり勉強時間の記録ができるアプリもあります。
他人が管理している様子を,後述する方法で仲間と共有することで「自分も頑張ろう。」とモチベーションが上がったり,他人と比較することで,自分に足りないことに対する何らかの新しい気づきが得られるかもしれません。
勉強以外のゲームや動画に時間を使いすぎないための時間管理もこのタイミングで学ぶべきですし,損得の関係なしで付き合える中高生という時間は貴重です。
アプリを通して仲間と繋がるということは,デジタルであろうとアナログであろうと,今しか体験できない勉強法の1つだと考えられます。
友達とのコミュニケーションに使う
中高生が自己肯定感を高めるのも重要という話を前にしましたが,例えば自分が良い成績を残すなどの成功体験をした際,それを友達とシェアし仲間がそれを褒めたたえることは,スマホでSNSをうまく使った例の1つです。
SNSのグループ機能を使って,自分のわからないことを各自が持ち寄っては,それついてあれこれみんなが意見を出し合えばそれはもう立派なディベートですし,黒板に誰かが記述式問題の答案を書いて,それを先生が添削するといった勉強法は昔から数多くの学校で行われています。
後者は授業内でしかできませんが,前者であれば場所と時間を選びません。
今日は○○さんが先生役をやるなど,得意科目ごとに担当を決めて仲間内で授業をしてみれば価値ある勉強時間になると思うのですがいかがでしょうか。
教育改革ではアクティブラーニングが採用され,ますますコミュニケーション能力の重要性は高まっていくでしょう。
説得力に乏しい論理で結論を無理やり導き出さぬよう,幼少期のうちから国語やプログラミング授業を中心に,読む力やしっかりとした論理力を身に付けておきたいものです。
まとめ
以上,中高生におけるスマホを使った勉強法のまとめでした。
今回の記事における要点を抜き出すと,
- 中学では禁止だが高校だとスマホの持ち込みが可能になるところもある
- スマホを用いた「記録・検索・管理・コミュニケーション」は立派な勉強法
となります。
スマホの使用は大学に進学するとますます顕著になるので,中高生のうちに正しくスマートフォンを使えるようになっておくことは大切です。
いわゆるノート術で言うところの,情報の記録(保存),そして整理という役割を理解した上で,検索による発展学習や学友とのコミュニケーションを通して,自分のさらなる可能性を発見してください。
もちろん,使い方によっては諸刃の剣ともなりうるスマートフォンです。
操作自体については教えるまでもないでしょうが,使いすぎないための時間管理が,教育改革が情報リテラシー的な教育を行うことで,中高生が便利に楽しく使えるツールになることを願って,終わりの言葉に代えさせていただきます。
ICT技術の今後にも注目ですね。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。