現在,中高生でスマートフォン(スマホ)を所持していない生徒を見つけることは困難です。
それくらいスマホは日々の生活に浸透しており,連絡手段や情報集めに使う他,ストレスの解消にも大きな役割を果たしています。
SNSやゲームに関する負の側面がニュースで取り上げられることもありますが,国の事業としてGIGAスクール構想が立ち上がるほど,今やスマホは様々な学びを可能にする有益なデバイスの1つとして好意的に捉えられているわけです。
とはいえ,その使い方については学んでおくべきで,使用時間が多いスマホだけに上手く使えないでいると自分だけが損してしまうことも今後は少なくありません。
そこで今回の記事では「現在の中高生のスマホ状況」をまとめてから,メインである「スマホが得意とする勉強法」について紹介していくことにしましょう!
中高生におけるスマホの利用状況
現在,自分専用のスマホを持っている生徒の割合は高校生だとほぼ100%に近く(モバイル社会白書),中学生でも7~8割ほどだとされています(教育ネット総合研究所)。
なお,後者のデータでは小6でも半数程度が所持していることが判明しており,MMD研究所の調査によると小6~中1にかけてスマホデビューする家庭が多いようです。
スマホを持つ理由としては「SNSが使えること」が第一に挙げられます。
先のモバイル社会白書によると,LINEは8割,InstagramまたはXは4割以上が「利用している」と回答していましたし,学校関係の連絡で使われることも多く,参加・不参加のアンケートも簡単に取ることが可能です。
そして何より,思い出や趣味を仲間と共有するのは学生ならではで,これは別に現代の中高生に限った話ではないでしょう。
コロナ禍を経てZOOMなどのオンライン授業を導入し,教育改革でICT機器の活用機会が増えた時代ですから,学校側のスマホに対する見方は昔に比べて劇的に変わったように思われます。
昔であれば見つかり次第没収だったはずのスマホですが,もはや学校への持ち込みを禁じているところは少ないです(とはいえ,さすがに授業中に音楽を聴かれたりゲームをされたりしては困りますから,最低限のルールについては学校が独自に設定しています)。
家で勉強をする際にもスマホは有効活用されており,先のMMD研究所のデータによれば使用者の6割以上にまで及ぶとされ,その内訳はYouTubeを筆頭に語学に用いる生徒も多いことがわかっています。
もちろん,それに異を唱える親は1割程度と少数です。
次章からスマホならではの特徴を生かした勉強法についてみていきますが,当記事では授業中と授業外を問わず全部で4つを紹介します。
授業の記録を残す
授業の内容を記録としてスマホに残す。
この使い方は授業中に実行できるものの中では最も簡単にできるスマホ活用術だと思います。
黒板の写真を撮っておくのは,以下のノート術で言うところの「保存」を行うためです↓
普段勉強をやらない子にとってみれば,宿題の範囲を写真に撮るだけでもそれは立派な勉強となり,それで期日通りに課題を出すようになるだけでも成績アップに繋がりますし,「期限に間に合わせるためにはこの日までに宿題を始めなければいけない」といった自己管理能力の上昇も起こります。
「授業中に人が話しているとき,カメラを黒板に向けることは失礼ではないのか」と疑問に思う方も,学会発表やシンポジウムに参加すればすぐにその考えは訂正されるでしょう。
今やパワーポイントのスライドが変わるたび,ほとんどの出席者(子どもではなくもはや立派に育った大人たち)がスマホを取り出しては撮影しているわけです。
その他,情報を保存するという観点からはスマホを使って授業動画や音声を残したり,友人が上手にまとめたノートの写真を仲間内でシェアしたりといった使い方もできるはずです。
とはいえ,スマホの撮影を禁止し後でもう二度と聞けないことを知らしめれば参加者は必死にノートを取るでしょうし,スマホでデータを残すだけで安心してしまい後で見返さない可能性もないわけではありません。
なので,スマホで保存するメリットとデメリットの両方を知った上で,強い意志をもって後でまとめ直そうとする心構えが重要となってくるでしょう。
わからないことを検索する
スマホの賢い使い方の2つ目は,授業中にわからなかった語句をインターネットで検索してみることです。
これはスマホが最も得意とする勉強法でしょう。
というのも,いったん検索をかければ数万件もの記事が表示されてくるわけですし,参考書と異なり,豊富な画像や動画を伴うことで色や音声を通して学びを深めることもできるからです。
「百聞は一見にしかず」の格言通り,より理解がしやすくなります。
最近は校内のICT環境も整い,学校の授業でも検索の仕方を教えるようになりました↓
実際のところ,生徒の学力差は「どういった語句に興味を持ち検索をするのか」といった箇所にも表れてきてしまうため,それほど単純な話にはならないのですが,何にせよ興味を持った際にすぐ調べることは大切です。
昔は図書館に行くことが調べ物をするときの定番でしたが,現在ではスマホを使うことの方が主流となっています。
情報の確かさを判断できる目が必要になるかもしれませんが,そうした情報リテラシーについて教えることも教育改革における学校の役目です。
もちろん家庭で学ぶこともできます↓
宿題などの連絡事項を管理する
板書を写真で保存するところでも述べましたが,スマホは管理ツールとして優秀です。
やることが多くて忙しい時代においては,目的から逆算してしっかりと自分の予定を管理できる資質・能力が大切になってきます。
社会に出る前の学生段階から,そうした自己管理の習慣を身に付けておきたいものです。
スマホには宿題や連絡事項をメモとして残すだけでなく,それらを予定表にまとめたり勉強時間の記録ができたりするアプリもあります。
アプリがスマホに何十個も入っていて,それを使いこなす中高生も少なくないでしょう。
他人が管理している様子を後述の方法で仲間と共有することで「自分も頑張ろう!」とモチベーションが上げられたり,他人と比較することで自分に足りないものが何かわかったりすることもあるわけです。
グループのメンバーが電話で繋がった状態で作業することで集中できますし,今だと匿名での作業通話や意見の募集もできます。
勉強以外のゲームや動画に時間を使いすぎないための時間管理についてもこのタイミングで学ぶべきですし,損得の関係なしで付き合える中高生時代は大変貴重な時間です。
アプリを通して仲間と繋がることは,デジタルであろうとアナログであろうと,周りに同じ時間を共有する人がいるからこそできる勉強法のように感じています。
友達とのコミュニケーションに使う
中高生が自己肯定感を高めることの重要性についてはすでに記事にしましたが,例えば自分が良い成績を残すなどの成功体験をした際,それを友達とシェアし仲間がそれを素直に褒め称えられることは,スマホでSNSを上手に活用している例の1つです。
SNSのグループ機能を使って自分のわからないことを各自が持ち寄っては,それについてあれこれみんなで意見を出し合えばそれはもう立派なディベートになりますし,黒板に誰かが記述式問題の答案を書いたものを先生が添削するといった指導は昔から数多くの学校で行われています。
後者は授業中にしか行えませんが,前者であれば時と場所を選びません。
「今日は君が先生役ね」などと得意科目ごとに担当を決めて仲間内で授業をしてみると価値ある勉強時間が過ごせるように思うのですがいかがでしょうか。
これもまた同じ境遇の人が周りにいるからこそできる方法で,大学においても一般教養の講義ノートを取る係が存在しては定期的に回ってくるものです。
教育改革によってアクティブラーニングが大々的に採用されるようになりましたし,ますますコミュニケーション能力の重要性は高まっていくでしょう。
説得力に乏しい論理で結論を無理やり導き出さぬよう,幼少期から国語やプログラミング授業を中心に読む力やしっかりとした思考力を身に付けておきたいものです。
まとめ
以上,中高生におけるスマホの使用状況とその特性を生かした勉強法についてまとめてきました。
今回の記事における要点は以下の2点となります↓
- 今やスマホを勉強に生かすことは誰もが推奨している
- スマホは「記録・検索・管理・コミュニケーション」が得意
スマホの使用方法は社会に出てしまうと誰も教えてくれませんし,中高生のうちから正しくスマホを使える生徒とそうでない生徒の間では大きな差が出てしまうため,早いうちから学ぶだけでなく実際に試してみることも重要です。
いわゆるノート術で言うところの,「情報の記録(保存)」と「整理」という役割について理解した上で,検索することによる発展学習や学友とのコミュニケーションを通して,スマホひいては自分の持つ可能性を発見するようにしてください。
もちろん,使い方によっては諸刃の剣ともなり得るのがスマートフォンです。
操作自体については教えるまでもないでしょうが,使いすぎないための時間管理や相手の気持ちになった言動(マナー)についても忘れず身に着けるようにしてください!
最後までお読みいただき,ありがとうございました。