入試改革

教育改革の目玉!プレテスト(試行調査)の実施と結果まとめ

2017年10月,大学入試センターの方から『「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)』についての日程がアナウンスされました。

その日からだいぶ月日が経過し,実施結果のニュースがちらほら飛び込んでくるようになりました。

今回の記事では,プレテストを行った時期やその目的についてみていくとともに,その試験内容に簡潔に触れてから,その実施結果を分析したものまでまとめています(本記事を最初に書いた2017年10月から最新の更新日までのデータになります)。

このプレテストの結果を元に大学入学共通テストが完成するわけですから,当サイトで知識を深めると共に,今後の教育改革について対策を考える際のきっかけにしていただけたら幸いです。

 

 

共通テストのプレテストの実施規模

大学入試センターからプレテストに関するアナウンスがあったのは,2017年の10月6日です。

具体的にどのような報告があったのかと言いますと,

「大学入学共通テスト(以下,共通テスト)の問題を仮に作成したので,受けて感想を聞かせてください」

といった旨のもの(本当に簡単に言った場合ですが)。

 

とはいえその規模は広大で,1回目の試行調査を実施したのは全国約1900校の高等学校と中等教育学校(参考までに全国の高校数は約5000)です↓↓

これらの高校は『協力校』と呼ばれますが,その協力校に選ばれる確率は,実に全体の3分の1をも占めており,中々に大規模な試験だったと言えるでしょう(プレテスト1回目の英語は158校のみで実施)。

実施期間につきましては,後で紹介します。

 

 

プレテストで問われる能力

大学入学共通テストの問題では,これまでのセンター試験よりも『深い理解・思考力・表現力』を重視した問題(新形式の問題)が出題されます。

いわゆる教育改革(大学入試改革)において,『今後を担う人材に必要となる能力』を問える目的の出題に変わったというわけです。

 

大学入試センターから配布された資料によると,今回の試行調査の主な意図としては,

生徒の解答状況を分析し,今後の問題作成に役立てる

記述式問題でどのようなトラブルが想定されるか確かめる

の2つが挙げられます。

 

「マーク式・記述式問わず,共通テストの問題の質は十分か」,そして最も大変であろう,「記述式の問題において,しっかりと客観性が保証されているか(採点官によって採点にばらつきがないか),さらには「採点までの期間はどうであるか」について検証するわけです(マークシートではないので機械で自動処理するわけにはいかず,採点するのに時間がかかるので)。

すぐ後で触れますが,2018年の2月のプレテストでは,英語の試験内容と受験上の配慮(点字問題など含む運営能力)が試されました。

最終的な調整となる2018年の11月のプレテストでは,試験会場を協力校から実際の大学へと移し,本番さながらの試験を,最終的な調整も兼ねて,より大規模で実施することになり,受験する高校生の人数は約10万人にも及ぶものでした。

それでは,実際のスケジュールとその内容について詳しくみてみましょう!

 

 

共通テストまでのスケジュール

教育改革におけるプレテストの今後の日程について,もう一度上の表で確認しておきましょう。

公表された2021年(平成33年)の1月に実施される共通テストまでの予定については,以上のようになっています(平成○○年という書き方や○○年度という表記が混ざり合ってわかりにくいですよね)。

上の表で『平成30年度試行調査』となっているのが,共通テスト実施前の最終調整となるプレテストのことです※完了しました

 

なお,『試行調査(プレテスト)』という書き方が目立ちますが,これまで「プレテスト」とだけ呼んでいたものを,「実施の趣旨がわかりにくい」という意見を踏まえて「試行調査」というふうにより詳しく呼ぶことにしたそうです。

よって今後は「試行調査」と呼ぶことも多くなってくるかもしれません(ここでは「プレテスト」という呼び名を基本に書いていますが)。

 

 

プレテストの科目詳細

それでは全部で2回あったプレテストの科目内容について見ていきましょう(1回目ですが,英語以外の科目と英語の試験が別日程で行われているので,全部で3回のように捉えることもできます)。

第1回目(英語以外)

第一回目の試行調査(2017年11月13~24日実施)における,科目の種類や試験時間,受験者数は以下の通りでした↓↓

英語は少し後のプレテストで(別日程で)調査されるため11月には実施せず。

なお,1回目のプレテストで記述式の問題が出されたのは,国語と数学IAの2科目においてです。

前回の大学入学共通テストの記事で書きましたが,記述式専用に別に問題が1つ用意されるので,その分だけ従来のセンター試験よりも試験時間が長くなっています↓↓

国語80分→100分,数学60分→70分

また,マーク式の問題においては教育改革の目指す能力である,深い知識や思考力を問う新傾向の問題が混ざっていたのも特筆すべきことでしょう。

 

第1回目(英語)

次に,2018年の2月に実施された1回目プレテスト(正確には1回目のプレテストのうち未実施だった英語のみ)は,

  • 高校2年生以上の約6300人が対象
  • 2018年2月13日~3月3日の期間

で行われました。

英語は2023年度までは民間が請け負う資格検定試験と並行して,センター作問試験(今回のプレテストみたいなもの)が利用できます。

いずれかを使うか,またはその両方を使うかは各自選べるようです。

 

英語の試験科目は,大きく分けてリーディングとリスニングの2つからなっており,リーディングの大問は6つで,時間は80分。

難易度はCEFRで言うところのA1~B1レベルの問題で構成されています。

いきなり第一問から,必要な情報を読み取る問題になっています↓↓

従来の発音やアクセント,語句整序問題は「読むこと」ではないと判断され,出題されませんでした。

 

一方でリスニングの試験時間は30分。

音声は英語のネイティブ以外の人がしゃべることもあります。

今回のリスニングでは,すべての問題が2回繰り返し読まれるA問題と,1回切りのBバージョンの比較が実験的に行われました(問題自体はほぼ同じ)。

最も難しかったのは,メモを取りながら解答を考える第5問でしたね↓↓

全体的に要約や複数の情報を合わせて答えを判断するものが多く,有識者の間では「より実力差がはっきり表れる良い問題に変わった」と評判です。

細かい内容については,以下をご覧ください。

 

第2回目

2回目のプレテストは,2018年11月に行われました。

日程はA日程とB日程の2日で,実施科目と期日が異なっている上,実際に受ける生徒の学年も異なっているのが特徴です。

試験内容と試験時間についてまとめた表は以下の通り↓↓

 

A日程とB日程の違いですが,次の表のようになっています。

A日程:11月10日,高2対象。国語と数学①

B日程:11月10&11日,高3対象。国語,数学①と②,地歴,公民,理科①,理科②,英語,リスニング

 

受験生の多くが気になる記述問題が出題されるのは,今回も国語と数学Iにおいてのみでしたが,解答用紙を見てみると国語は3問(20~30字,40~50字,80~120字)↓↓

 

数学においては以下のような解答用紙のイメージになります↓↓

右にみえる空白の解答欄が,まさに記述用ですね!

なお,1回目の英語リスニングで物議を醸していた『読む回数』については,1回読みと2回読みを混在させた出題となり,より本番の形式に近づけるため,アメリカ人以外の話者も読み上げに登場するといった変更が予定されています。

 

2回目の問題は,以下のリンクを参照してください↓↓

第2回プレテストの問題と正解

 

以上2回のテストはすでに終了していますので,結果について触れていきましょう。

 

 

プレテストにおける主な分析と結果

1回目

1回目はある意味実験的な試みだったので,結果についてはそこまで詳しく分析する必要はありません(この結果を受けて,2回目で修正が行われますので)。

ここでは注目すべき点だけまとめましょう。

 

国語

記述式で完璧な解答をした答案は0.7%,無回答6.6%

30%の問題において,正答率50%以下

 

数学

IAでの記述3問は正答率が2.0%・4.7%・8.4%となっており,無回答が49.8%・57.0%・46.5%

数学的な論理性の欠如が見られた

IAでは31.1%,IIBでは24.4%の問題が正答率50%以下

 

英語

リーディングは32.4%の問題で正答率が5割以下。

リスニングはA問題で30.0%,B問題で40.0%の問題が正答率5割以下です。

なお,英語リスニングの正答率が低いですが,すべての問題が難しかったわけではなく,第1問Bの問5のように90%程度の正答率があるものもありました。

なお,最低の正答率は,A問題の第1問Bの問6(12.6%)とB問題の第4問Aの問21(3.2%)です。

 

2回目

各科目別の問題の工夫や改善点については,以下がその詳しい公表内容となります↓↓

試行調査の問題作成の意図

見ていただくとわかりますが資料が膨大なので,各問題の特徴については目に留まったところだけ箇条書きにし,結果を簡単に述べたいと思います。

 

国語

第1問目がいきなりの記述式ですから,面食らいますね。

  • 全部で5つの大問で,1問は記述式,4問が古文,5問が漢文
  • 100分で200点+記述式の評価で採点
  • 文学・古典の題材に加え,詩や故事成語と比較する問題が新傾向

 

数学

センターで馴染みのある見た目の問題も多いですが,このように実際の生活に数学をどう役立てるのかうかがい知れる出題もあります。

  • 無回答にならないよう,数式や短い文章で答えさせる出題
  • ICT(ソフト)や日常生活をうかがわせる場面設定
  • IA・IIBともに大問は5つ,どちらも70分100点満点

 

英語

リーディングは第一問目からこれですからね。純粋な文法問題はありません。

  • 読解の大問は6つで80分100点満点
  • 文章から質問に答えるための情報をいち早く読み取る能力が必要
  • リスニングも大問の数は6つを30分で100点満点
  • 1回読みの問題が第4問以降で出題,最難度(B1レベル)を誇る

 

理科

日常生活や社会問題を元にした考察問題が意識的に多く盛り込まれている感はありましたが,特に大きく変わった印象はありません。普通に勉強していれば解けます。

  • 60分100点
  • 物理・化学・生物は大問数4・5・5で構成
  • 考察させる問題が多いものの,従来のセンターと形式的には類似

 

社会

日本史Bや世界史Bでは,歴史の流れを問うような,知識問題だけでは解けない出題が特に多かったように思います。

  • 教科書で扱われない初見問題あり
  • 考察力が求められる出題が多い
  • 世界史Bと地理Bは大問5,日本史Bや現社は6つ,残りは4
  • 60分100点満点

これらの結果については2019年の4月に発表になりましたが,これまた資料が膨大なので,詳細は省きますが,このような平均正答率などが科目ごとに算出されました↓↓

平均正答率が5割になるよう調節し,さらには得点の分布表が中央に集中するよう調整するとのことでした。

また,数学においては無回答(空欄)が目立ちましたが,これは問題文が長すぎて試験時間が不足した可能性もあったそうで,時間のかかる問題発見から解決までの全過程を問う問題は極力減らし,過程の一部を問う問題を増やす方向で調節するようです。

受験者側としては,自分の記述した答案と採点結果が一致するよう,より多くの例示や出題の工夫をしてほしいところですが,今回の結果は国語は7割,数学が8~9割程度の一致率でした(初回試験と同等)。

詳しくは以下をご覧ください↓↓

2回目プレテストの分析結果

 

 

試行調査(プレテスト)についてのまとめ

最後に,今回のプレテスト報告における,内容上の要点をまとめます。

プレテストは,共通テストのミニチュア版

最初の試験は協力校で行い,2回目は大学で大規模に

記述式問題が出されるのは国語と数学I

マークの問題にも新形式の問題が混ざる

英語の問題は,有識者の間で良問だという評価

英語リスニングは1回読みの問題は難しい

の6つになるでしょうか。

 

「第1回目のプレテストが難しかった」とアンケートにて回答した生徒は全科目で50%を上回ったとのことですが,相対結果を競う試験ではありますし,簡単では試験の意味をなさないので気にすることではないでしょう。

とはいえ,平均正答率は50%にすることを目標に作られていることを念頭に,これからは本番試験の動向について注目することもお忘れなく↓↓

センター試験に代わるテストは「大学入学共通テスト」に決定!

 

最後に,大学入試改革においては,頭を使って考える練習をしておくことが,どの科目においても重要です。

時間制限がある中で必要な情報を読み取らなければならなかったり,単なる知識以外の考察をするなど,記述問題から逃げるわけにはいけなくなりました。

スタディサプリのように,普段から論理的に考える癖を身に付けられる方針の教材を使って,学校の予復習に役立てるようにしましょう。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人

スタディサイト管理人

都内で塾運営にかかわってから,講師歴も15年以上になりました。小学生から高校生まで,英数を中心に学校の定期テストから大学入試まで幅広く教えています。最近の関心事は「教育改革」で,塾に入ってくる情報に加え,セミナーや書籍,信頼のおける教育機関より得た情報をまとめています。すぐに実践できる勉強法やオンライン教育サービスを利用した学習戦略も意欲的に掲載。ネットを介したやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てたらと思います。

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