今や高校生の半数近くが使っているとされるスタディサプリですが,ICTの強みを十分に生かした学習が可能です。
学習者である小中高生は未習範囲であっても容易に独学することができ,学習場所や時間帯の制約を受けることはありません。
一方,保護者である親の方も自分の子の学習状況を逐一把握できてしまうわけで,契約を続けるか否かの判断を簡単に下すことができます。
この際,「まなレポ」と呼ばれるメールが大きな役割を担っているのですが,これを上手く使うことで,親が子どもの学習を管理することも可能です。
当記事では,そんな「まなレポを生かした親の管理方法」について,いくつかの案を提示してみたいと思います。
子どもの勉強を親が管理することの是非について
子どもをどこかの塾に通わせる場合,どのように頑張っているかについて知るには,子どもに直接尋ねることがほとんどです。
面談などで,「家族が揃う夕食のタイミングなどにおいて塾の話題を出すことにしています」などと聞かされることもありますが,子どもが中学生になると,反抗期からか親子間で意思疎通が上手に取れなくなることが増えるようで,塾での様子を親が把握できていない状況も珍しくはありません。
純粋に部活で疲れている場合においても,うるさく聞かれるのを嫌がるでしょうし,曖昧な感じにしか答えてくれない子どももいるでしょう。
なお,塾での子どもの様子を知る方法としては担当講師からのメールや面談もありますが,基本,講師は子どもの良いところを盛って話すものですし,親側の聞きたいところが含まれない状態での一斉送信で届く場合は満足のいく結果とはならず,それすらない塾も普通にあります。
もちろん,塾に問い合わせれば教えてもらえますが,個別指導の塾であればまだしも,集団授業がメインの塾だと個別に対応することは難しく,頻繁に親側から連絡を取り続けるのも気が引けますし,実際のところはやっぱりわかりません。
そのような状態なので,親は「今週は先週よりも,ずっとよく頑張ったんだね」などと子どもを褒めてやることができませんし,あまつには,頑張っている子どもに向かって「ちゃんとやってるの」などと尋ねてしまうことになるわけです。
反抗期の子どもを抱えている家庭の場合,こうしたうっかり発言がきっかけで,親と子の溝がさらに深まってしまい,意思疎通が取りにくくなることが往々にして起こり得ます。
なお,私は「褒めて伸ばす方」が「叱って伸ばす」よりも小中高生の教育にふさわしいように日々感じているため,当記事においてもその姿勢を変えませんが,自己肯定感が低いことが日本の国民性であるだけに,些細なことでもそれを見つけて褒めてやると子どもは大層喜んでくれるものです。
塾で生徒をやむを得ず叱る場合は,本当にその子のことをよく観察して,全責任を負えるだけの正当性が自分側にあると確信したときのみ行いますが,本人とそこまでの信頼関係を築くためには,個別指導であっても最低2年はかかります。
叱る効果は絶大ですが,一度でも間違えてしまえばすべてが水泡に帰してしまうリスクも併せ持っているため,タイミングを見計らうのが非常に難しいのです。
子どもは育つように育ちますので,親の思い通りにいくことはありませんし,本人が欲する環境をできるだけ整えてやったら,あとは自由にさせておくのがベストかもしれません。
とはいえ,知的分野に関しては子どもが一人で学ぶことができないようにも感じているので,ほったらかしにするのも違うように感じます。
少なくとも,けなすことをせずに子どもが学習効率を高められる管理方法であれば,悪影響を及ぼすことはないでしょう。
そのためにも,何らかの客観的なデータを元に的確な助言をすることを勧めますが,その際用いることになるのはテスト結果だったり宿題の提出状況だったりするわけです。
さて,普段は学校向けに宿題や活動記録サービスを提供しているスタディサプリ(いわゆる団体利用サービス版の内容)であるだけに,個人で利用する場合においても便利な管理機能を備えています。
ここでようやく冒頭の「まなレポ」の話に繋がるわけですが,詳しくは次章以降でみていくことにしましょう!
スタディサプリにある管理機能とは
高校生のための学びの基礎診断と認定ツールの紹介で述べたように,ICTの筆頭として文科省による認定を受けたこともあるスタディサプリですが,親が子どもを管理する場合に役立つ機能を備えているところは意外と評価されていません。
そもそも,「管理」という言葉に「厳しい」とか「難しい」などのネガティブな印象を抱く親も少なくないでしょう。
とはいえ,前章でも述べたように,管理できるだけの材料を揃えることは大変なので,できないことの方が普通なわけです。
実際,「いつでもどこでも使える」点や「値段の割に良質な教材や講師陣が揃っている」という意見がスタディサプリの評判の中では特に多かったわけですが,スタディサプリを使った際の管理のしやすさにももっと注目が集まると良いなと思います。
通称「まなレポ」は「学習者の学習進捗状況紹介機能」のことですが,サポートWeb上で配信をOnに設定しておくことで,以下のようなメールを受け取ることが可能です↓
これには日刊と週刊の2種類がありますが,上記は前者のものとなります。
まなレポを受け取る設定にしているかどうかを確認したい方は,サポートWebにある「アカウント設定」のアイコンをクリックし,学習者情報のパスワード下にある「変更する」を押した先のページでチェックが入っているか調べるようにしてください↓
ちなみに,まなレポは子どもに気づかれることなく確認することもできるため,親が知らないふりをすれば,さりげなく我が子を誘導するという,三蔵法師や官僚のようなアプローチも取れてしまうわけです。
とはいえ,当記事において親の管理は支援目的であり,子にストレスを与えるものとはなり得ませんから,わざわざ隠す理由もないかと思います。
それでは次章で,実際の例を挙げながら活用方法を紹介してみることにしましょう!
まなレポの活用方法〈初級者編〉
まなレポの活用方法として,さほどの負担をかけずに親が実践できるものから紹介します。
簡単に言うと「現在の学習状況を確認し,改善できるところを指摘する」という方法です。
現在の状況を確認する
上記は,夏休み期間における,ある高3生の学習記録(週刊レポート)です。
自分がこの子の指導に全く関わっていないものとしてこれらのデータを分析してみると,平均して毎日1時間(1講義ずつ)勉強しようとしていることが読み取れます。
なお,この生徒は日本史をメインにスタディサプリで学んでおり,他教科については塾に通っていると仮定してください。
木曜日は塾,そして日曜日は模試を受けたか予備日に設定しているのでしょう,スタディサプリは休みの日に行っていることもわかります。
さて,まなレポを利用して保護者が子どもを支援する場合,以下の3つを行うことが可能です↓
- やる気を上げる
- 悪癖に気づく
- 自立を促す
これは個別指導塾の持つ強みや心構えについての記事で語ったことにも通じるものですが,例えば上の1つ目に注目すれば,週に1回,この管理画面を確認することで,
「自分のペースを守って,毎日1講義を頑張って続けられたね!」
などと声かけして,子どもの良かった部分を褒めてやることでやる気アップを促せるでしょう。
何らかの話をするだけでも良いですし,今後のビジョンについて共有することでも同様の効果が得られます。
その上で,2~3つ目に関連することで改善できる点がないか探してみてください。
私は,上の高3生がスタサプの動画を観るだけで満足してしまい,各動画の最後にある確認テストを使っていないことに気が付きました。
そこで,
「その日に習ったことを最後に振り返ることも大切だから,今度からは確認テストも解いてみてはどうかな?」
などと,改善が必要な点をアドバイスしたわけです。
もちろん,私の方が勘違いしている可能性もあるので,あえてやらない理由があるのであれば,その話を聞かせてもらうことで良しとします。
その他,
「1週間にちょこっとだけ生物を学んでみても,暗記科目であるだけにすぐ忘れてしまうだろうから,まずは日本史だけに全力で集中してみるのはどうかな」
などと意見できるかもしれません。
実際,あまり器用ではない高3生は1科目に集中させた方がその分熱心にやってくれますし,到底学力的には無理であろう国公立大学の併願を諦めさせるときにも有効です。
逆に,
「毎週土曜日の決まった時間に副科(生物など)を学ぶように考えられたことは立派だね。そしたら,スタサプの後に基本問題集を使って演習もしてみよう!」
と助言することもできるでしょう。
改善できたか確認する
先の高校生は,私がアドバイスした翌日からすぐに確認テストにも取り組むようになり,結局夏休みの最後まで当初の予定通り学習を続け,1つの講義を最初から最後まで全部視聴することに成功しました。
実際,上の学習履歴をみると,最初は1つも解いていなかった確認テストをきちんとやるようになったことがわかります。
その他,私が感心したのが,夏の最後(上記画像の8/24~26)において,一気にそれまでの問題をまとめて解き直すという自分なりの勉強法を編み出して実行していたところです。
このことについて尋ねてみると,
「確認テストを言われたとおりに解いてみると,わかった気になっていた授業であっても,実は理解しきれていなかったことに気づいたので,何回も復習するようにしました。」
との返答でした。
このように,自己分析ができるようになってくればもう安心です。
動画内で行われる,スタディサプリの講師による励ましも助けとなり,うまくモチベーションを維持できたおかげで,夏終わりの模試ではだいぶ得点できるまでに成長しました。
もっとも,親に口うるさく言われることを鬱陶しく思う子がいるのも事実です。
そのような子どもを相手にする場合,自分が管理画面から勉強時間を把握していることを如実には告げず,
「どうやら,スタディサプリの動画後に付いている確認テストはすごく評判がいいみたい。授業終わりに解くのと解かないので,忘れにくさが2倍も違うんだって!」
などと,人づてに聞いた感をアピールするか,子どもが信頼を置いている人に代弁してもらうと良いでしょう。
まなレポの活用方法〈上級者編〉
次章の内容をふまえた上で,さらに踏み込んだ管理をしたい場合は,復習のサポートをすることをおすすめします。
まなレポにちなんで,ここでは日刊レビューと週刊レビューと呼ぶことにし,以下でそれぞれの方法についてみていきましょう。
日刊レビューを促す
日刊レビューとは,その日に学んだことを頭の中で思い出す学習法で,1回あたり5~15分の長さとして,これを1日に2~3回行うというものです。
本来は子どもが自分の頭の中で行うだけで良いのですが,折角親がいるわけですから,本人の口で説明してもらいましょう。
日刊レビューを行うことで,学んだ(インプットした)ものを思い出す(アウトプットする)ことができます。
親と子の話題は,
- どのような内容を学んだか
- どの問題で詰まったのか
が中心になるはずです。
週刊レビュー
週刊レビューとは,より長い時間(2時間以上)をかけて,1週間で学んだ問題を解き直すことを意味します。
親はまなレポや学習者ページを基に子どもが学習した内容を把握し,講義で扱った問題(テキストに載っているもの)の中から5~10問選んで問題を作成してください。
このとき,
- 制限時間を設ける
- 点数を付ける
- 出典を記載する
ことがポイントです。
制限時間は本人が急いでやってギリギリ終わる時間に設定することで,試験本番に似た緊張感を持って挑む練習を積むことができます。
これは,子ども1人では決してできないことであり,実際の試験でケアレスミスをすることを減らすことに繋がるわけです。
時間設定ですが,しばらくやっていれば勝手がわかるようになるでしょう。
採点できるようにしておくことも重要で,子どもは「どうすれば制限時間内に最大限得点できるか」を真剣に考えるようになります。
逆に初回のうちから,8割以上取れてしまうようであれば,スタサプとは別の問題集を使ってやらせてみるのが良いでしょう。
テキストのどの部分から問題をピックアップしたかの出典を付けておくことで,子どもが戻って復習する際に便利です。
なお,テスト後は以下の手順で解き直しを行わせてください↓
- 残した問題があれば時間無制限で挑戦させる
- 出典を参考に解説を読ませる
- 間違えた部分のみを解き直させる(解説など見せない)
- 再度答え合わせをする
間違えたものについては何が原因でできなかったのかを本人に考えさせます。
塾で行っているものとしては,「知識不足・理解不足・ケアレスミス・時間不足・思考力不足」のいずれかに分類してみてください。
間違えた問題は数ヶ月後に再度解き直させてみると最高です。
もちろん,お金を追加で支払うことで,中学生であれば個別指導コースを,高校生であれば合格特訓コースを利用でき,担当コーチに同様のことを行ってもらうことができます。
その他アイディアに関しては,先に紹介した個別指導の強みの記事を読んでみてください。
まとめ
スタディサプリの管理画面から子どもの学習状況を知ることで,何もしなかったときと比べて,全く違う接し方ができるようになります。
親が否定的な物言いを封じることで,子どものやる気アップや学習態度を改善させることができ,親が我が子の変化を感じ取れた際は大きな喜びを感じるでしょう。
なお,いくつか声掛けの例も示しましたが,効果的なアドバイスを行うために必要なものとして「身近でみている親だからこそ気がつける独自視点」に勝るものはありません。
その子の過去にあった挫折なども踏まえて判断することが可能ですし,万一アドバイスが結果的に上手くいかなかったとしても,親が子どものために最善を尽くそうとする姿勢は必ず伝わり,長い目でみても決して無駄にはなりません。
「自分の子どもには好きなように勉強してほしい」という気持ちはわからなくないですが,「自分の毎日が忙しくて大変だから,子どもに構っている余裕がない」などと簡単に諦めてしまうことのないようにしてください。
子どもに指導できるだけの知識がないというのであれば,親も一緒になってスタサプの講義を受けてみるのはいかがでしょうか。
もちろん,前章で述べたようにベーシックコースの上位版に申し込む選択もありです。
塾選びの基準が,ただ「仲の良い友達が行っているから」とか「(特に授業内容は見ていないけれども)料金が周りの塾より安いから」という安易なものになりさがってしまっている現状を鑑みるに,親による管理はますますその重要性を増しています。
毎日のレビューは習慣化できると,机に向かっていない時間も勉強について考えられるようになりますし,1週間ごとのレビューは作成するのが大変な分,急激な成績上昇に繋がりやすいものです。
とはいえ,まずはまなレポをチェックして子どもの頑張りを褒めてやれる機会を設けるところから始めてみてください。
みなさまのお子様のスタサプライフが良い結果に繋がることを願って,まとめの言葉とさせていただきます。
スタディサプリをこれから始められる方はスタディサプリのキャンペーンコードのまとめを忘れずにチェックして,無料体験から始めるようにしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。