今回は,英語力を海外で証明する際に有力な「TOEFL iBT」の試験概要と対策方法についてまとめてみようと思います。
国内に限らず,英語圏の大学までを視野に入れた入試戦略を採用したいと考えている方はもちろん,TOEFLのテスト形式や受験料,勉強法がどのようなものであるか簡単に知りたい方も,是非一度目を通していただけたら幸いです。
TOEFLとは

TOEFLを主催するのは,アメリカに本社を構えるETS(Educational Testing Service)です。
教育関連のテスト開発や評価を実施する組織として「世界最大」との呼び声も高いETSは,今回紹介するTOEFL以外のTOEICやGREといったテストにも深く関わっています。
むしろ,日本の場合,ETSと聞いてTOEICが真っ先に浮かぶ人の方が多いかもしれません。
なお,試験自体の運営は別の組織が担当することも多いですが,TOEFLの場合はETS Japan(TOEFLテスト日本事務局)が窓口です。
ところで,TOEFLとは「Test of English as a Foreign Language」の略ですから,英語圏の大学(アメリカ,カナダ,ヨーロッパ,オーストラリアなど)に入学を希望する人が,実際の授業についていけるかどうかを判定することを主な目的としています。
実際,問題を見ればその試験がどのような受検者層を想定しているのかが何となくわかってくるもので,例えば,TOEICであればビジネスシーンでのやりとり(取引だったりオフィスでの会話など)ですし,英検では小中高生を取り巻く学生生活での出来事が中心です。
対して,TOEFLはアカデミックな内容(学術的なテーマですが,学生生活やキャンパスでの話題も含,まれる)となります(測れる英語力は,CEFRのB1~C2と底なしです)。
大学・大学院の授業そのものといった出題も見受けられます。
後で実際の問題をいくつか紹介しますが,大学の講義的なものを聞いた後の理解力を試す問題や,エッセイ(自分の意見を論理的にまとめる)形式のものが目立つことにすぐ気付くでしょう。
TOEFLの結果は72時間以内にわかりますが,ReadingやListeningは自動採点できるとあって,試験を受けた直後に予想得点が表示されてくるのも特徴的です。
TOEFLは全国にあるテスト会場で受ける以外に,自宅受験(Home Edition)やPaper Editionも可能ですが,Paper Editionは日本では受けられないので除外しておきましょう。
開発されたのは1964年ですが,日本には2000年から導入されており,現在,160を超える国における13000以上の大学やその他機関がTOEFLを入学時の参考にしているとのことで,汎用性は他の民間試験をはるかに凌駕しています(スコアには有効期間が設定されていて,TOEFL iBTの場合は2年間となります)。
直接海外の大学に行く以外にも,日本の大学に入ってから海外に出ていく選択肢もあるでしょうから,国内の大学入試で本テストが採用されていても驚きませんし,日本の大学でも英語で授業が行われていたり,テキストが英語だったりするところが少なくないわけです。
少子化が問題になってはいますが,それでも国内の受検者数は今後も増えていくだろうと思われます。
なお,日本の大学院入試で英語試験代わりに使われることもあり,大学入試に比べてはるかに数が少ない受験生のためにわざわざ英語の試験を作るというのは,なるほど,多忙な教授からすれば割に合わないと感じることでしょう(専門科目の方はさすがに毎年作成しているでしょうが)。
それに,海外から日本に来る留学生も同じTOEFLで成績を判定できるため,日本語があまりできない外国人なら助かるでしょうし,同じ試験で留学生と一般受験生の成績を比べられる点も魅力に感じられます。
話を大学入試に戻しますが,TOEFLを利用する場合,一定のスコアを超えると試験が免除されたり英語の得点が満点扱いになったり,はたまた加点が与えられたりと良いこと尽くしです。
過去の活用例については以下のページを参考にしてください↓
今のTOEFLは普通,iBTとEssetialsの2つの形式のいずれかを指し,前者は「internet Based Test」なのでネット上で行われるテストとなり,日本だと2006年頃から運用が始まり(この時点でCBT形式は廃止),2021年以降は自宅でTOEFLが受けられるようにもなりました。
後者はテスト時間や料金がiBTの約半分になっている簡易版という位置づけですが,内容的にもアカデミックな英語は半分となり(iBTはすべてがアカデミック),残りは一般的なシーンで使う英語関連の出題となっています。
それでは次章から,iBTの内容について詳しくみていくことにしましょう!
TOEFL iBTの試験内容(2026年改訂版)
TOEFLのスコアは1~6のバンドスコアで採点されます(0.5刻み)。
試験は1日で完結し,解く時間も1.5時間程度と短縮傾向にあります↓
試験時間
リーディング:約27分(以前は30分)
リスニング:約27分(以前は36分)
ライティング:約23分(以前は29分)
スピーキング:約8分(以前は16分)
スコアについては通常のTest Dateスコア(その日のスコア)の他,過去2年間の各セクションの最高スコアを組み合わせたMyBestスコアも表示され,多くの大学で取り入れられています。
CEFRとスコアの対応を以下の表にまとめてみました↓
| CEFR | Score |
| C2 | 6 |
| C1 | 5-5.5 |
| B2 | 4-4.5 |
| B1 | 3-3.5 |
| A2 | 2-2.5 |
| A1 | 1-1.5 |
それでは,試験の順番通りに出題内容をみていきます。
公式からサンプル問題が公開されているので,そちらを使うようにしてください。
リーディング
リーディングセクションでは3種類のタスクに取り組み,モジュール1とモジュール2を合わせた計35~48問に答えましょう(そのうち最大15問は採点されず)。
質問はすべて選択式ですが,最初のタスクでは70~100語程度の文章の単語を完成させます。
完全な穴埋めではなく,単語の後半部分が削除されているところが独特です↓

続いて,タスクの2ですが,日常生活で目にする文章が出題され,ポスターやSNSの投稿,領収書やスケジュールがその代表例ですが,長さは15~150語と差があります↓

最後のタスクは大学のテキスト(一般教養)にあるような内容で,専門用語も登場しますが,難しいものについては定義が書かれていることが多く,問題を解くのに必要な情報はすべて英文内に見つかるので心配は要りません↓

1つの文章の長さは200語程度で,5問を解きます。
ここまでが1つのモジュールになり,これまでの内容を見直して答えを訂正することが可能ですが,次のモジュールに進んでしまうと,前の問題に戻って解き直すことができません。
対策としては長文読解の速読を中心に練習するようにしますが,万全な対策を行いたい方は,大学の授業で使う英語のテキスト(大学の生協などで買えます)を購入して読むことも考えられます。
リスニング
リスニングセクション以降は,ヘッドセットを装着して受検することに注意してください。
タスクは4種類で全部で35~45問に答えますが,最大12問は採点されない問題です。
1つ目のタスクでは短い質問や発言に対して適切な返答を選ぶことになりますが,音声が短いだけに,聞き逃してしまう部分があると途端に難問と化します。
サンプル問題では以下のような質問を聞き取って,すぐに意味まで理解できなければいけませんでした↓
Didn’t I just see you in the library an hour ago?
単純な文とはならないことが多く,ネイティブの発音ということで,ここでは否定疑問文になっている上に音声変化が起こっています。
タスクの2も会話問題ですが,話し手が複数になるため,聞く時間はタスク1の数倍となり,推測や予測を行って正しい答えを選ばなければなりません↓

問題数は1文につき2問で,早いうちにどんな話題なのかを理解する必要があります。
タスクの3はアカデミック関連のアナウンスとなり,タスク2と同じくらいの会話(40~85語くらい)を聴き,その後の問いに答えましょう。
もっとも,イベントの案内やスケジュールなので,予め練習しておけば対応しやすいように思います。
場所や時間,何が行われるのかが尋ねられやすいです。
最後のタスクはいよいよ講義となります。
100~250語を聴くことになり,問題数は4問です↓

音声を聴きながらノートを取ることができることと,解き終えた前の問題に戻ることができないことに注意してください。
攻略法ですが,リスニングのときに発せられた音というのはすぐさま消えてしまうものなので,リーディングのとき以上に英文を前から順に理解していく姿勢が重要となります。
先に紹介したテキストで音源が利用できるものがあれば,それを使って対策するようにしてください。
メモは要点を押さえるに留め,多くを残そうとしないことが重要です。
ライティング
ライティングのタスクは3種類で,問題数は全12問です。
どの形式であってもパソコンを使ってタイピングするところは共通していて,答案はETSに送信されて採点されることになります。
問題数が多く感じますが,最初のタスクが10問あり,短時間で終えやすい英文整序問題であるため,本格的な自由英作文は後半の2問だけです。
タスク2はEメール問題ですが,7分という制限時間の中で,文法や語彙に注意を払いつつ書くようにしましょう↓

自動採点システムが導入されていて,スペルや語数のチェックは機械が行うはずです。
また,どのような内容にすべきかは指示されるため,過不足なく含めて書くことを心掛けましょう。
Eメールであれば,挨拶や結句といった書式も気にする必要があります。
最後のタスク3では最低100語以上を書かなければなりません。
解く時間は10分なので,どのような構成にするのかを予め考えておくと,高速化が図れるでしょう。
例えば,
- I agree~で書き始めて立場を明確にする
- 理由を2つ挙げ,それぞれに理由または具体例を付け加える
などですが,ライティングの攻略に関しては,以下の記事を参考にしてください↓
スピーキング
TOEFL iBTのスピーキングは全部で11問ですが,最初の7問と残り4問とでは問われる能力が異なります。
前半のタスクは,聞いた内容を繰り返すもので,発音やイントネーションの正確さが問われるわけです。
具体的には1つのイラストを7文で描写するのですが,1文ごとに8~12秒が設けられるので,その間に繰り返すことになります。
いわゆる,「リプロダクション」のトレーニングを行うことになりますが,例えば動物園のイラストが表示された状態で,以下のような英文が計7つ放送されるというわけです↓
Bears, wolves, and large cats are to the right.
You can find sea lions and elephants further down the path.
タスク2は1つのトピックに関連した4つの問いに答えますが,このとき,自分の意見や経験を基にして語らなければならず,正解例は受検者の数だけあることになります。
まずは場面設定について語られた後,インタビュー形式で質問されるわけです↓

赤矢印のところで,それぞれ,45秒近く話さなければなりません。
まずは30秒以上話すところから始めて,自分なりに得意とする話し方(型のようなもの)を増やすようにしましょう。
会話内容は録音され,こちらもETSに送られて採点されますが,自動採点システムも導入されているので,発音のチェックは機械が,内容を人間が判定すると考えておくと良さそうです。
相手が機械だけによりはっきりと話すことはもちろん,内容に一貫性を持たせるように意識しましょう。
TOEFLの申し込み

ここではTOEFLの申込手順についてまとめますが,ETSの公式サイトに行って申し込みページからアカウントを作成し,ログインした先のページから申し込みをしましょう。
受験票の発行はないので,登録番号(Registration Number)とテスト日時などの確認事項(Confirmation)をしっかり保存しておくことが重要です。
気になる受験料ですが,これは他の資格検定試験と比べると高額で195ドルとなっています(とはいえ,2025年4月1日から50ドル減額されています)。
その他,ギリギリでの申し込みや日時や会場の変更などの手数料がかかることに注意してください。
受験料に関しては4技能すべてを測ることになるためどうしても高くなってしまいます。
機械の自動採点だけでなく人のチェックが入るとなればやむを得ません。
割引もまったくないわけではないのですが,次がいつになるかもわかりませんので,期待はしないでおくのが吉です。
それ以上に,しっかりと元が取れるよう,念入りに準備して臨むよう心がけましょう!
テストセンターで受ける場合,毎月土日に2回以上は実施されているので,開催頻度については問題になりません。
TOEFL iBTの対策
TOEFL iBTの対策ですが,試験がインターネット形式であるだけに中々に対策が難しいとされていました。
というのも,英検対策や学校の定期テストのように,わかりやすい参考書があまり存在しなかったからです。
とはいえ,最近ではSanta×toeflというオールインワン型のアプリが登場してきており,多忙な学生が時間の合間を縫って学習することが可能になっています↓
もちろん,TOEFLテスト公式教材ショップのところで紹介されている教材の中から,自分に合いそうなものを選んでみても構いません↓

上に示した「The OFFICIAL GUIDE to the TOEFL iBT Test」といったタイトルのものが最もポピュラーで,値段は5500円くらいです。
それ以外にも単語帳が出ていたり,オンライン模試のようなものも利用できます。
書店では他社が2000円台で出している各種対策本も見つかりますが,公式教材を差し押さえてまで手を出すべきものとは思いません。
なお,TOEFLではリーディングに限らず,文系や理系問わずアカデミックな基礎知識を持っておくことで解きやすくなります。
苦手なジャンルをなくすために,分野別(社会学・経済学・人類学・医学など)の英文を集めた問題集を使って学ぶこともおすすめです(先に触れた,生協で買える一般教養について扱った本はここでも有効です)。
まとめ

以上,TOEFLの試験内容とiBTの対策を中心にまとめてきましたが,いかがだったでしょうか。
各種入試に利用される方は,時間に余裕をもって申し込むこととできる限りの対策をすることが大切です。
最後に,今回の要点をまとめておきましょう!
申し込みにおけるポイントは,
- 公式サイトでアカウントを作成して申し込む
- 受検料は195ドル
- 英語圏の大学でも活躍できる4技能があるかどうかが問われる
- iBTは約1.5時間のテストで6段階のバンドスコアで判定される
でした。
一方,勉強方法についてまとめると,
- まずは公式が関係しているもので自分に合った教材を探す
- 公式ガイドが王道だがオールインワンアプリも便利
- 単語帳やeラーニング教材,市販教材も利用可能
- 文系理系問わず一般教養があると役立つ
のようになります。
対策ももちろん大事ですが,普段の勉強で培った英語の実力がものをいうテストであることをお忘れなく!
最後までお読みいただきありがとうございました。