共通テストは,単なる知識の有無を問うだけの場ではありません。
厳しい制限時間がある中で,膨大な資料を処理し,論理的な解(答え)を導き出す「情報処理のスピード(頭の回転の速さ)」を競う戦いです。
もはや「対策なし」で臨むのは,十分な準備運動もせずにいきなり本番の激しい試合に挑むようなものです。
当記事では,2021年の開始から現在に至るまでの出題傾向を徹底分析し,本番で「自己ベストの最高得点」をたたき出すための「実践的な攻略法」をお伝えします。

共通テストの出題傾向:センター試験との違い
まずは,私たちが戦う相手の特徴を確認しましょう。
従来のセンター試験から何が大きく変わったのか,主要な変更点を以下の表にまとめました。
▶共通テスト VS センター試験:主な特徴の比較
| 項目 | センター試験(旧形式) | 共通テスト(現行) |
| 評価能力 | 知識・技能の暗記が中心 | 思考力・判断力・表現力を重視 |
| 英語配点 | 筆記200点:リス50点 | 読解100点:リス100点(1:1の割合へ) |
| リスニング | 全問2回読み | 1回読みが導入(第3問以降) |
| 数学の時間 | IA 60分 / IIB 60分 | IA 70分 / IIBC 70分 |
| 国語の時間 | 80分 | 90分(2025年以降) |
| 構成 | 6教科30科目 | 7教科20科目※ |
※共通テストの構成ですが,まず最初に情報Iが加わって6教科31科目になった後,現在の7教科20科目に整理されました。
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全教科を網羅したスタサプの共通テスト対策講座
入試方式の多様化に伴い,ますますその重要性が高まっている大学入学共通テストですが,一体どのように対策をしていけばよいのでしょうか。 2021年に開始されたばかりとあって,まだまだ利用できるデータが少ない上,25年度には教 ...
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自分の限界を知る:青ペンを使った「自己分析(弱点発見)法」
解き方のコツを身につける前に,現在の自分自身の「本当の実力」を正確に測定する必要があります。
これが,青ペンを使った「自己分析(弱点発見)法」です。
- 時間を測らず,まずは自力で最後まで解く。
- 制限時間内に書いた答え(鉛筆)と,時間をかけてじっくり考えた答え(青ペン)を分ける。
- 青ペンで解けていれば「解き方のコツや時間配分で解決可能」,青ペンでも解けなければ「そもそも基礎知識が不足している」と判断します。
共通テストの問題は,焦って自滅することがない限りは実力通りの結果が出るように作られているため,例えば時間を無制限にかけても6割しか取れない実力の受験生が,どのような小手先のテクニックを使ったところで,本番でいきなり8割を取ることはできません。
その場合,
の順に学んで基礎を固めてから,共通テストの戦略を考えるようにしてください。
すべての土台となる読解力
「青ペン」で時間をかけても解けない場合,あらゆる問題を解くのに必要な読解力そのものが不足している可能性もあります。その場合,英語の問題文や質問文をすべて日本語に訳してあげても正解できないはずです。
【教科別】最短攻略ガイド
ここからは,実践的な解き方を解説していますが,当記事で紹介しているのはかなりの高得点をたたき出すための理想的な方法であり,これは多くの受験生の目標点を超えてしまっているかもしれません。
それこそ,各種予備校から伝えられる分析結果同様,これらすべてを同じように完璧に実践できる受験生はほぼいないはずです。
そもそも,私にとってベストな方法が必ずしもあなたに合うとは限りません。
お互い,得意不得意な領域は全く違うはずです。
ゆえに,自分に役立ちそうな解き方をかいつまんで試してみては,上手くいったものや「これなら何とか自分にもできそうだ」と思えるものだけを自分のやり方として採用してください。
とはいえ,本番が近づくにつれて実力が高まっていくのが自然ですので,それに併せて解き方もより高度なものに変化させていく必要があることも覚えておきましょう。
英語:読解とリスニングの「同時進行」
- リーディング:純粋な文法問題は消滅。「スキャニング(必要な情報だけを素早く探し出す読み方)」が有効です。第1問~第6問まで,設問を先に読み,必要な情報だけを英文から抜き出す感覚を養ってください。
- リスニング:後戻りできない1回きりの一発勝負に対応するため,音声が流れる前の「問題の先読み」が生命線になります。
共通テストの英語はリーディングとリスニングがどちらも100点満点で,1日目の15時20分~16時40分に前者が,そして17時20分~18時20分に後者が行われます。
これまでの平均点の推移は以下の通りです↓
2021~2026年
- リーディング:58.80→61.80→53.81→51.54→57.69→62.81点
- リスニング:56.16→59.45→62.35→67.24→61.31→54.65点
数学:出題者の意図(誘導)にうまく乗る
共通テストの数学は,太郎さんと花子さんの会話の中に「解き方のヒント(誘導)」が隠されています。
自分の解き方に固執せず,出題者の意図(誘導)にうまく乗れるかが高得点の鍵です。
IA・IIBCの両者とも試験時間は70分で,どちらも配点は100点満点となっています。
平均点の推移は以下の通りで,赤で示した令和4年度(2022年)は歴史的に難化しましたが,それでも得点調整が行われなかった理由は「文系理系問わず全員が平等に受ける必須教科だから」です↓
2021~2026年
IA:57.68→37.96→55.65→51.38→53.51→47.20点
IIBC:59.93→43.06→61.48→57.74→51.56→54.52点
国語の解き方
国語は200点満点ですが,大学入試センターは平均点を100点満点に換算して発表している場合があることに注意してください。
また,市販の過去問(赤本など)は著作権の問題で文章が省略されていることが目立つため,正確に時間を測って本番を完全に再現することは難しいです。
ここ最近の平均点の推移は以下の通りです↓
2021~2025年
国語:117.50→110.26→105.74→116.50→126.67→116.37点
国語は生徒がノートに要約をまとめたものの他,自分で調べた内容や新聞の批評を引用するなど,共通テストらしい「複数の資料を読み解く内容」が大問ごとに見受けられます。
とはいえ,文章を解くにあたってこれまでと何か根本的に解き方を変える必要があるかと言えばそのようなことはなく,従来通りの「王道の読解勉強法」と戦略でもって十分に対応可能です。
構成も,おなじみの「評論文,小説,古文,漢文」の4部構成となります。
理科・社会の解き方
理科と社会は科目のラインナップが多岐にわたりますが,1科目60分の100点満点となります。
共通テストになったことで初めて見るタイプの初見問題が増え,読む文章の量も多くなっている中で感じるのは,やはり「読む力(読解力)」の重要さです。
理科や社会の知識を駆使して解く以前に,グラフや資料を正しく読むことができなければ,いわゆる「読めばできる(事前の暗記知識なしでその場で解ける)」問題に正解することはできないでしょう。
それに国語力の有無は,同じ教科書を読んだときの理解度にも大きく影響を及ぼすものです。
なお,根源的に暗記科目とされる日本史や世界史であっても,単語の丸暗記ではなく出来事同士を繋ぐための「背景知識(ストーリー)」を理解することが重要で,中学の教科書をサッと読んでみることや,ひいては歴史マンガを使った物語としての勉強法がますますその重要性を増しています。
なお,ここでは理科・社会を代表して「化学」と「歴史総合,日本史探究」の解き方を詳しく解説しますが,他の「生物」や「歴史総合,世界史探求」なども全く同じ考え方でもって攻略することが可能です。
情報Iの解き方
2025年度から新しく加わった「情報I」ですが,導入初年度に大きな混乱はなかったものの,「そこまで対策しなくてもなんとかなる」と油断した生徒は2年目の難化に大きく動揺してしまったようです↓
2025~2026年
情報I:69.26→56.59点
【参考】導入前の試行調査(プレテスト)に見る「出題の意図」
共通テストが現在の形になるまでに,大規模な「試行調査(プレテスト)」が実施されました。
出題者の「なぜこのような形式に変えたのか」という本当の意図を深く理解したい方は,以下の記録を展開して読んでみてください。
まとめ
共通テストという巨大な壁を突破するために必要なのは,付け焼刃の小手先のテクニックではありません。
それは,先にも示した,あらゆる情報を論理的に処理するための「確かな読解力」です。
まずは「読む力」を極限まで高め,その上で各教科の正しい解き方を学ぶようにしましょう。
















