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TEAPという英語試験の特徴と対策!高校での勉強こそが大切

昨今の入試改革の際には,大学受験生の英語力を測る民間テストとして採用される予定もあった「TEAP」ですが,英検やTOEICなどと比べると,その内容について詳しく知らない方が多いように感じています。

にもかかわらず,「それではみんなで次回のTEAPを受けましょう!」などと学校の先生が突然宣言したりするわけですから,対策する学生の身にもなって欲しいものです。

もっとも,主な受験者に高校生が想定されている試験というのは,普段の学校教育の成果をみることが目的となっているため,対策の方にさほどの時間をかけなくても意外となんとかなってしまいます。

実際,私の教え子も近くTEAPを受けることになってしまったわけですが,今回の記事では似たような境遇の方に向けて,TEAPの試験内容や対策方法についてまとめてみることにしましょう!

TEAPとは

TEAPのトップページ

TEAPとはTest of English for Academic Purposesの頭文字を取ったもので,TOEFLとその目的は同じように思えますが,実施対象が日本人,それも高校生を対象としているという点で,世界標準であるTOEFLとは異なります。

英語4技能のうち,特に「話す」と「書く」の測定に熱が入れられているあたり,まさに日本の大学の授業でアカデミックな英語をどのくらい使える素養があるのかを問う気が満々であることがわかるでしょう。

管理人
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試験によっては「読む」と「聞く」の2技能しか測らないものもありますが,TEAPはそもそも4技能すべてを測定することが前提です(とはいえ2技能受験も可能ですが)。

開発元は英検で有名な「日本英語検定協会」と「上智大学」となります。

後者については,最初に耳にした際に驚いたかもしれませんが,これまでに輩出した英語の達人は数知れず,日本の英語教育界を牽引する有数の教育機関です。

5年という歳月を経てTEAPは開発されましたが,最初に実施されたのは2014年となります(CBTの実施は2016年からですが,2024年度をもって終了が決まりました)。

さて,その問題内容とレベルですが,TEAPにおける出題は日本の学習指導要領において求められる英語力に準拠しているところが特徴です。

そのため,難易度は英検で言うところの準2~1級程度となっています。

各試験との難易度比較はCEFRとは?英語試験や大学入試との関係についてで表にして説明しましたが,高校卒業時の目安が準2~2級です。

なお,英検とTEAPのデータ比較の正確性については,実施団体がどちらも日本英語検定協会ということもあって信頼の置けるものでしょう(IELTSも同様です)。

逆にこのように書くと,「英検を受けるのと変わらないのでは?」と思われる方が出てくるかもしれませんが,文章や状況がすべて大学教育の中で遭遇するものを想定して作られているところがTEAPらしさであると理解してください。

ちなみに,2023年に旺文社が実施した「受験生が選んだ外部検定はどれ?」という調査(2024年6月28日取得)によると,TEAPの利用率は6.8%で2位,英検は圧倒的1位で90.0%,IELTSは0.6%の4位でした。

試験情報に関してまとめると以下のようになります↓

TEAPの基本情報

受験回数:年3回(7月,9月,11月)

会場:26都道府県(北海道,宮城,秋田,福島,茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川,新潟,富山,石川,長野,静岡,愛知,京都,大阪,兵庫,広島,香川,福岡,長崎,熊本,沖縄)

受験料:15000円(L&Rの2技能は6000円)

受験資格:高校1年生以上

公式HPはこちら

なお,有効期間が「取得後2年度の間」と設定されているため,例えば2024年度に受けた場合,同年度の入試か2025年度の入試にしか活用できません(2026年3月の入試まで有効)。

試験時間や問題内容について詳しく見ていく前に,大学入試におけるTEAPの活用状況について次章で確認させてください。

 

 

TEAPの採用大学について

大学の校舎

2017年度の入試では,70ちょっとの大学でTEAPがスコア利用できるに過ぎませんでした。

それが2020年度の試験では184校へと激増し,今では285校の大学で入学試験の優遇を受けられるようになりました(TEAP活用大学検索の結果による)。

これにはいわゆる「TEAPスコア利用型入試」が含まれており,大学ごとに定められた基準を満たすことで入学試験が有利に進められるのが特徴で,開発元の上智大学の例ですと,「TEAPスコア利用型」の一般選抜では,保有するTEAPの点数と入試での英語以外の得点を合計して合否が決まります。

もちろんTEAPで良い点数が取れることが前提ですので,入試利用に関しては実際にTEAPを受けた後で調べるようにしてください。

ここでの理解としては,日東駒専やMARCHに始まり,はたまた早稲田においてもTEAPの利用が可能な学部・学科が存在し,うまく使うことで合格可能性を高められるということだけ押さえておきましょう。

ちなみに,結果については1ヶ月ちょっと経った頃に送られてきますが,ウェブ上でより早く確認することもできます↓

TEAP成績表裏面

上はTEAPの成績表裏面の例ですが,TEAPは400点満点(各技能20~100点)でスコアが計算され(E),それに対応するCEFRのレベル(F)とアドバイス(H)が確認可能です。

なお,Iの位置に表示されているスコアは「CSEスコア」と呼ばれるもので,英検やIELTSなどと比較する際に役立つでしょう(共通です)。

実際の大学に提出するのはEに書かれたスコアになることが多いのですが,英検2級に合格できるレベルの場合,TEAPで225~308点が見込めます。

管理人
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1つの技能が欠けているのも問題で,難関私大では「全技能65点以上」などの下限が設けられている場合もあるので注意してください。

 

 

TEAPの試験時間

それではTEAPの試験内容について詳しくみていきましょう!

まずは試験時間からです↓

TEAPの試験時間

4技能で受験すると,午前9時から最大午後17時すぎまでの約8時間拘束されてしまう,1日がかりの試験となります。

リーディングとリスニングの間に休みはありません。

とはいえ,リスニングとライティングの間には昼休憩が30分ちょっとあり,さらには最後のスピーキング試験は14時20分から順次開始の1人10分で終わるわけですから,試験自体は全部で約200分(3時間20分)です。

 

 

TEAPの問題内容と対策

ここではTEAPの問題内容を簡単に確認して,どのような対策が考えられるのか述べていきますが,詳細は先のHP上の「問題構成・見本問題」のところを確認してください。

もっとも,TEAPの問題構成は長い間変わっていないので,これまで通りのやり方(古めの参考書の方法)でも十分に通用します。

リーディング

リーディングパートは全部で70分,問題数は60問でマークシート式です。

Part1(20問)は語彙問題,Part2(20問)は図表やメール,短文の読み取りが主で,Part3(20問)は長文の読み取りとなります。

Part1がこのような感じで始まり↓

TEAPのリーディングPart1の問題例

以下のような短文を読んで答える問題がPart2です↓

TEAPのリーディングPart2の問題例

細かく言うと,こちらはAとBの2つに分かれます。

Part3は以下のような長文問題で全部でA~Cの3パートから成りますが,Part3のBともなると共通テストを彷彿させる図表が出てくる長文問題もみられるはずです↓

TEAPのリーディングPart3の問題例

考えられる対策としては以下の3つが有効で,簡単に言えば,単語は教科書レベルのものをしっかりと覚え,短文や精読の練習から始めて最終的には長文の論理展開も追う練習を行えばよいことになりますが,大学入試のための勉強と内容的に重なります↓

  • 語彙問題は教科書に出てきたものを例文ごと覚え,決まり文句はそのままの形で使えるようにする
  • 英文と選択肢の内容を正確に読み取る読解能力を身に付ける
  • 段落ごとの要点を把握し,ディスコースマーカーやキーワードから文章の流れを追う練習を行う

 

リスニング

リーディングから休憩を挟まず,続けてリスニングパートが始まりますが,時間にして50分,問題数は50問でこちらも形式はマークシートです。

音源の見本もあるのでまずは聞いてみましょう!

聞きやすい英語ですが,いちいち日本語にしていては聴き取れない内容です。

要点だけを覚えるようにするか,イメージを浮かべる方法で対応してください。

短文パートと長文パートの2つに大別され,Part1と2で25問ずつとなります。

Part1ではこのような問題が流れ,A~Cの全3パートです↓

TEAPのリスニングPart1の問題例

長文を扱うPart2ではこのような英文が流れます↓

TEAPのリスニングPart2の原稿

パートAは会話,パートBは講義を聞く感じで,上のものは後者にあたりますが,質問は4問ありました↓

TEAPのリスニングPart2の質問例

なお,英語の音声は1回だけしか流されないので注意してください。

対策ですが,教科書を使うでも構わないので,日頃から英語の音に慣れておくことが重要です↓

  • リスニング教材(学校で配布されたもの,英検の教材,ラジオ英語など)を毎日聴く

自分で発音できない英語は聞き取ることができません。

発音記号の理解が怪しい方は英語発音の読み方と発音のコツを学ぶようにしてください。

リスニングは,まとまった期間,1回数分であっても毎日聴くようにするとすぐにスコアがアップします。

教材の確保と日々の習慣づけが大変ですが,それさえクリアしてしまえば後はさほど大変ではありません。

管理人
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リスニング対策は声を出すので,勉強中に眠くならないのが良いところです。

 

ライティング

試験時間にして70分,問題数は要約とエッセイが1問ずつですが,こちらは記述式となります。

前者は,説明文や評論文を読んでその内容を70語程度に要約するものなので,各段落ごとに要点を抜き出してそれを繋げるだけでもなんとかなるでしょう↓

TEAPのライティングTaskAの例

が,2つ目のエッセイでは,論点を把握した上で自分の意見を含めて200語でまとめなければなりません↓

TEAPのライティングTaskBの問題例

1つ目の要約問題については,リーディングのときにも述べた,

  • 論理展開を把握するための勉強

が役立ちます。

いわゆるディスコースマーカー関連の本で学ぶようにしてください。

また,2つ目の対策としては,

  • 問題と解答例を見て,どんな模範解答を書けばよいのか知る

だけでも,かなり見通しが明るくなるでしょう。

大学で学ぶようなアカデミックライティングでは,最初の段落で「序論」,2~3段落目で「自分の意見とそのサポート」,4段落目で「結論」を書くように指導されますが,TEAPの場合はそれとはやや異なり,

  1. 全体のテーマや状況について書く
  2. 1つ目の文の要約
  3. 2つ目の文の意見をまとめる
  4. 自分の意見を理由付きで書く

といった手順に従って書けば大丈夫です。

文法ミスは確実に減点されますが,内容こそが一番大切なので,まずはしっかりと書きあげることに専念し,最後に通しで読みながら文法的におかしいところがないかチェックしていくのが良いでしょう。

問題文に何を書くべきかは細かく指定されているので,それに従って1段落ごとに答えを書いていけば模範解答に近づくように思います。

英作文の得点を上げるコツ!おすすめの勉強法はの記事内容も参考にしてください。

 

スピーキング

試験時間は約10分で,問題数は全4問,英検と同じく面接形式です。

ライティングもそうですが,1つの答案を2名の採点者が採点し,結果に大きな差異がないことを確認しています。

尋ねられる内容については以下のようになっており,試験内容は録音されて採点されることも知っておきましょう↓

  1. 受験者自身について
  2. 試験監督にインタビューする
  3. あるテーマについてスピーチを行う
  4. Q&A

Part1から質問責めになるところは辛いと思いますが,試験時間の短いスピーキングではこのような形式が普通です。

その場の雰囲気にいち早く適応してください。

以下はよくある質問例です↓

TEAPのスピーキングPart1の例

Part2ではトピックカードが配られ,「試験官を何かに見立ててインタビューする」というユニークな出題がなされます。

以下は,試験官を「高校教師」と想定して質問を考えた例です↓

TEAPのスピーキングPart2の問題例

ある程度慣れてしまうと,尋ね方のコツがわかってくると思うので,自分なりの質問パターンを身に付けることを心がけましょう。

Part3はカードに書かれたトピックについてスピーチをします↓

TEAPのスピーキングPart3の例

最後は時事的な問題についての質問が複数飛んできますから,覚悟をしておきましょう↓

TEAPのスピーキングPart4の例

これらの質問に答えるためにも,

  • 普段から英語を話す練習をしておくこと

が肝要です。

英語が得意な人でも,突然外国人に道を尋ねられると何も言えなくなってしまうことが多々あります。

そして,TEAPのスピーキングテストにおいても最も良くないことは黙ってしまうことです。

なので日ごろからしっかりと声を出す練習を積んでおきましょう!

 

 

まとめ

TEAPの問題概要

以上,TEAPについての理解をだいぶ深めることができたのではないでしょうか。

試験の時間配分や問題内容,加えて普段の対策の仕方について簡単に知っておくことだけでも,確実にスコアはアップするように思います。

なお,市販されているTEAP対策本につきましては,2015年あたりの旺文社のものを筆頭に10冊以上を確認しており,大半は古いものですが,先述の通り対応可能である他,つい先日,教学社から攻略問題集が登場したばかりです。

もし良いものが見つからなくても,受験勉強を頑張るか似た形式を持つ試験の参考書で練習しましょう。

最後の章で具体的な対策についてみてきましたが,TEAPの基本方針は「バランス良く英語力を身に付ける」という一言に尽きます。

英検でもそうですが,特殊な専門用語(ある業界でしか使われないような単語)は目にしませんし,文法問題も早慶の入試で出てくるような重箱の隅をつつくようなものは出題されません。

とはいえ,普段の対策がしにくい「リスニング・ライティング・スピーキング」については,普段からどれだけ英語を使っているかによってスコアが大きく変わるものなので,付け焼刃的な対策を施した程度では大した結果には繋がりません。

特にスピーキングやライティングについては学習相手が必要となりますので,学校の先生やクラスメイトを練習相手に指名できるようだと最高です。

とはいえ,何も話せず書く英語も全く浮かんでこない状態では,実戦練習もなにもあったものではありません。

そんなときに有効だと思えるのは,オンライン教材を用いて英語を毎日アウトプットすることです。

具体的には英検対策について語った記事が参考になるかと思います↓

TEAPの本番までそれほど時間が残っていない場合でも,せめてライティングの解答例くらいは確認してから試験に臨むようにしましょう。

図表を読み取って200語にまとめる問題では,「こんな解答でも合格点が取れるのか!」ということに気付くだけでも,スコアは大きく変わってきます。

色々語ってきておいて何ですが,普段,学校の勉強に付いていくことができている真面目な生徒であれば,ほとんど対策しなくても意外に良い点が取れてしまうのもTEAPの面白いところです。

過剰に恐れる必要はなく,残された時間でわずかでもスコアアップに繋がるよう,時間の許す限り,最後まで頑張ってみてください!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人
学校の教室

スタディサイトの管理人

通信教育の添削や採点業務に加え,塾や家庭教師を含めた指導歴は20年以上になります。東大で修士号を取得したのはずっと昔のことですが,教授から数年に一度の秀才と評してもらったことは今でも心の支えです。小学生から高校生にまで通じる勉強法を考案しつつ,気に入っているスタディサプリのユーザー歴は7年を超えました。オンラインでのやり取りにはなりますが,少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

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